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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

食べ物の障壁を越える

投稿日:

私たちが自社で食品を製造するようになって、5ヶ月が経過しました。10年以上夢見ていたことが、一度の決心で叶ってしまえば月日が過ぎるのはとても早く、連日多くのお客様が私たちのジェラートを目的に、ご来店いただくようになりました。ジェラテリアにお越しになるお客様は、私たちの本業が何であるかをご存じでない方が大半で、「実は、自然食の流通や農業、貿易をおこなっている会社なんですよ」と申し上げますと、びっくりされるというのが日常になってきました。

その一方で、この『らくなちゅらる通信』を頻繁に手にしていただいているお客様にとっては、弊社はスイーツの会社ではなく、安心できる食品や生活雑貨を商う会社であるという認識が主流でしょう。こうやって、お客様の裾野が広がって、私たちが考えていることをお伝えするチャンスが増えることは、何をさておき嬉しく、楽しく、また責任を伴うことでもあります。

 

代替素材のプロとして

実際に、いろいろな食嗜好や食事制限がある方のためのバリエーションがあるジェラートを店頭でご提供しているうちに、平日には半分くらいが外国人のお客様という状況や、ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビアン、食物アレルギーをお持ちのお客様が過半数、という日も現れ始めました。ありがたいことに、お客様がお客様を呼んできてくださっているという状況になりつつあります。こういった方と、ざっくばらんにお話ししていますと、「京都にこういったスイーツ店は皆無」「ヴィーガンが食事できるお店はあるけれど、お店の数が少なくて探すのに苦労する」という声が聞こえてきます。特に外国人観光客や日本人でアレルギーがある方が大変困っておられる様子がよくわかります。

ただ、いくら私ががんばったところで自社だけでできることはスケールが小さく、世界中のお客様を満足させられるように際限なくバリエーションを増やすことはできません。当店のように、多種多様な食制限をクリアするには代替素材を幅広く駆使する必要がありますが、私たちはその流通の専門家であり、すぐに代替を見つけ出し、組み合わせることができる立場にいます。この状況を最大限に生かしたのが現在のお菓子作りであり、私たちの強みでもあります。そんなことをやっていると、「この子は乳アレルギーなので、このアイスがこの子の人生初めての経験です」「世界で一番おいしいヴィーガンジェラートです」という、私の心が溶けてしまうような嬉しい言葉をかけていただくことができるようになりました。

 

Beyond “ Food barrier ! ” プロジェクト

実は、京都のなかにはこういったお店が多くはなくとも存在しています。ただ、ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビオティック、オーガニック、ハラル、糖質制限、各種の食物アレルギーに対応できるお店を、多言語で、まとめて探せるツールはなく、それぞればらばらに存在しています。私はこういった食物に関する思想・心情上、宗教上、健康上の制限をフードバリア®と名づけ、このフードバリアを乗り越えていくというミッションを掲げてジェラテリアをスタートしました。

この試みは一定の評価をいただくに至り、そして未来を展望するときに、これを整理し、標準化し、認知を促すことはとても大切なことだと考えています。京都という国際的な観光都市で、こういった情報が散在して統合されていない現状は、もったいないことだと思うのです。情報が整理され、十分に告知され、参画者が増えていくことによって、旅人は1日3回食べ物についての不理解に悩む必要がなくなります。この結果、全く違う背景がある世界中の人々が、ともに「理解された」「理解しようとした」という代えがたい思い出を残せるのです。

たとえ、国々が押し寄せる不寛容の流れに支配されたとしても、一度、その地を訪れてよい思い出をもつ人が、そこに住む人々に武器の照準を、言葉の攻撃を向けることはできません。旅先で共に違いを理解し、同じことは何だろうと語りあった、彼の旅人の国を憎しみ続けることができるでしょうか。現代が過去よりも素晴らしいことは、自由な旅を通じて人と人との交流のハードルが下がったことです。互いの違いを理解し合い、認め合い、許し合うことによってのみ、国同士のいがみ合いを乗り越えることができるのです。

同じように、私たちは食べ物の思想、心情、宗教による違いについて、どれが正しく、どれが間違っている、という考え方はとりません。あくまでそれぞれの違いについて理解し、整理し、啓蒙するということこそが、私たちができる具体的なアクションです。善悪、優劣のためではなく、純粋に〝理解したい〞という気持ちこそが大切だと考えています。これを「和の精神」と呼ぶのではないでしょうか。

マザーテレサは、「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」といいました。もう無関心でいることはできないからこそ、人類が最後に核兵器の攻撃を受けた日である8 月9 日、Beyond“ Food barrier ! ”プロジェクトを、京都外国語大学の学生さんと共に旗揚げしました。この日が、永久に人類最後の核を人間の頭上で経験した日であり続けられるよう、微力を尽くします。

- 中川信男の多事争論 - 2017年9月発刊 vol.120

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