自分で書くことを躊躇する気持ちはあるのですが、ずっと弊社を大切にしていただいているお客様にはご報告するべきと思い、思い切って書かせていただきます。
今年1月末にイタリア・リミニで開催された、イタリアジェラート協会の開催する世界最大の個人別参加の国際ジェラートコンテストで、今年は2部門同時に入賞することができました。昨年、一昨年も入賞することができましたので、今年で3年連続の複数部門入賞となりました。私は昔からこのコンテストに参加しているわけではありませんので、自分の目ですべて確認したわけではないのですが、本場のイタリア人も含め、このコンテストに3年連続で受賞した人は聞いたことがないと業界関係者からの話もあり、おかげさまで世界初と称しても問題はなさそうです。
このコンテストには、日本の巨大アイスクリームメーカーも各社参加していて、イタリアを中心に数百点エントリーされるジェラートに順位付けがおこなわれます。チョコレートや菓子の国際コンテストのように、金賞何十人、銀賞何百人……というようなモンドセレクション的なざっくりした審査方法ではないので、相当過酷です。ましてや、審査員は全員イタリア人ですので、外国人の私にとってはイタリア人の味覚に合わせないといけないという未知の領域へのチャレンジとなります。そのうえ、事後の細かい採点報告やフィードバックは一切ありません。大手製菓メーカーの担当の方に聞きますと、ほかの菓子の国際コンテストの類いでは、エントリー代金が高いこともあって、細かい採点結果やフィードバックが返ってくるそうです。このコンテストは暗闇に弾丸を撃ち込むような、一体なにをどうしたらいいのかわからない難しさがあるとお話しされていました。おかげさまで私は中小企業経営者であり、いろいろな意味でゲリラ戦には慣れているので、それなりに勝てるのかもしれません。
いずれにしても、どこでも普通に使われる合成乳化剤や合成安定剤などの有害添加物を一切使わずに、この手の国際コンテストで連続入賞できるのも、目や舌、感覚の肥えたごまかしのきかないプレマのお客様に鍛えていただいたからだと思っています。この喜びを、弊社を愛してくださるお客様と分かち合いたく、ご報告させていただきました。ありがとうございます!
思わぬ迂回路
「うまくいかないことがあるのなら、諦める前に違う方法をやってみよう、うまくいくまで」というのが私の座右の銘の一つです。誰の名言でもないのですが、私の頭のなかでは常にこのような言葉が回っています。
ジェラートを作ろうと最初に決断したのは、自社の輸入品がテレビ放送されて、膨大な注文が殺到、しかし欧州からその品が入荷した3カ月後には市場の熱は冷めて、数千万円分の在庫に頭を抱えたことからでした。倉庫に到着したその瞬間から賞味期限タイマーがカチカチと音を立て、このままいけば多量の食品破棄となることがはっきりしたために、お客様に無償でそれを配布しました。しかし、日本人の大半にとってなじみのないそれは、ものすごく体にも心にも良いことははっきりしているのですが、いったいどうやって食べたら良いのかヒントに乏しいものでした。じゃあ、私がレシピを考えて外注して作ろうと考え、ジュースや飴などにしてみたのですが、そんなに量を使うわけでもなく、また売上も地味な金額にしかなりません。
もうこうなったら、自分で作るしかないと、残りの賞味期限1年という状況でジェラート製造機を導入、知識ゼロから試行錯誤しました。気がつけば最初にご報告したような受賞につながったのには私が一番驚いています。その輸入品はアフリカに実る聖なる実「バオバブフルーツ」です。バオバブ単体でなにかになるわけではないのですが、ほかの素材との関係性のパターンを見いだしたのが今現在の私の強みになっています。料理に使っても、パンに使っても、その組み合わせさえ理解していれば素晴らしいものが添加物なしで作れることがわかり、特に食べ物のテクスチャーを良くするパターンを発見したのです。おそらく現在では日本最大のバオバブ輸入元となり、アフリカの貧困問題解決かつ、持続可能な産品のフェアトレードの一助となっていると思うと、どこに答えがあるのかはやってみないとわからないことばかりです。
偉そうなことはいえませんが、うまくいくまで諦めなければ、なにかしらの道はひらくものです。あなたの障害はなんでしょうか。思わぬところに、その迂回路があるのかもしれませんね。