時代が難しさを増しているためか、スピリチュアルという言葉がもてはやされ、ブームのような様相を呈しています。私がこの会社を始めた25年くらい前には「健康のためには、身体、心、魂の三位一体が大事」などと書くと、さもプレマが特定の宗教を信仰していてそれを布教しているんだ、というような間違った解釈がなされました。今でも「プレマ株式会社」というキーワードで検索すると、『プレマ株式会社 宗教』とか、『プレマ株式会社 怪しい』などというサジェストがされる有様で、誰かになにかの宗教を勧めたことは一度もなく、なにか怪しいことをしているわけでもないことをいちばん知っている私自身が困惑しています。私はどちらかといえば合理的ではないこと、根拠のないことを嫌いますので、少数者が世界を闇で牛耳っているとか、民間航空機から意図的に毒性物資がばら撒かれるとか、誰も知らないような一般人を国家権力が電磁波攻撃しているとか、そういう話を真剣にされるたびに辟易とするタイプです。それはそれとして、縁あるお客様を少しでも幸せにしたいという気持ちはまったくぶれたことがありませんので、なにかの相談を受けて自分ができることが限られていると自覚したときには、神仏に手をあわせて安寧をお祈りすることは度々あります。神社の前を歩いて通るときには頭を下げますし、お寺にも行き、イスラム教国に行けばモスクにお礼を言い、教会に入れば愛に感謝もします。これが怪しいとか宗教的だと言われるのならそれはそれで結構なことですし、否定する気もありません。
そもそも「健康のためには、身体、心、魂の三位一体が大事」という趣旨のことは、比較的最近になって世界保健機関も提唱しており、物理的な電磁波障害についても警鐘が発信されています。確かに誰にでも身体は見ることができ、心は日々感じていて心理学というような学問も存在していますが、その人のスピリット(魂)だけは客観的に見ることができません。見えないことはすべて「ない」ことにしてしまえば、ややこしい話にはならないのですが、魂は普通の人には見えませんから、それをいいことに適当なことを誰彼問わず言うようになっているのが、最近の軽薄で違和感のあるスピリチュアル・ブームの傾向なのかもしれません。
腰が痛い人は意地悪
自然食の考え方も、スピリチュアルの匂いがする知識も、少し勉強し始めて、今まで知らなかったことを知った、という感覚がその人のなかに芽生えると、他の誰かにそれを教えたくなるものです。それ自体は学びを深めることに役立つのですが、「限られた人だけが知っている真実を自分も知ってしまった」と思うようなことを聞くと、それを知らない人はかわいそうな人、と勝手に解釈してしまい、周りに押しつけようとしたり、他人をジャッジする材料にしたりする人もいます。学んだ本人が知識を血肉にすればいいだけのことなのですが、少なからず簡単にいかない場合があるようです。新参者が知識をひけらかすだけならまだいいのですが、そのトップにいるような人たちもまた、かなり危険なものいいをします。かなり昔、私が知り合いに誘われてしぶしぶ参加したことのある京都のグループは、「癒しを学ぶ」という月1回の会合のようなところでした。宗教団体を背景にもっていないようでしたので、とりあえず行ってみると、当時頚椎が悪かった私は知人に連れられて代表者の前にいました。私は別に相談したいことなどなかったのですが、知人が「この人は、頚が悪いんです。先生、どうしたらよくなりますか?」と紹介しました。先生はしばらく私をしげしげと眺めると、「あなたの先祖は武士で、首をたくさん切ってきた。その報いのようなものです」というのです。その宣告を受けたら、なぜか知人は「ありがとうございました」と先生に挨拶をして、その場を離れました。私としてみれば、先生に「じゃあ、どうすれば?」とでも聞いてみたかったのですが、そういうのは野暮なようで、知人は「この学びの集いには、そういう暗い過去生がある人ばかりが来ているの。だから、毎月来て、先生の話を聞くだけでその過去から決別できるのよ」というのです。もちろん、私はそのような場所に通い詰めるはずもなく、1回きりの経験でしたが、その後聞き知るところによれば、その会の代表は法人向けに悪霊を祓う清めをやっているとか、それをすると会社の売上が伸びるとか、さらには宝石屋をやっているなどの事実がだんだんわかってきました。そのいずれも高額で、私にしてみれば霊感商法そのものなのですが、今もその会は元気なようです。
別のグループにも知人に誘われて行ったことがあります。そのグループは、高次元の神と突然通信ができるようになった人が、自動書記でクライアントの人生や健康の問題を魂のレベルで根本原因を聞いてくれるという触れ込みでした。ムーとアトランティスがどうとかいう文脈の神言だったのですが、そこの団体の出している書物で病気とスピリットの関係を読むと、つまりガンは頑固、腰痛は意地悪、腎臓病は裏切りとか、そんな趣旨のことがずらずらと書いてありました。つまり、この2グループから、私は『首切り武士で、意地悪』だから、脊椎障害がある、と認定されたことになります。生まれつき脊柱管が細くてもろいのは、これが原因らしいのです(笑)
あれから時代は変わっても、似たようなスピリチュアルを標榜するグループはたくさんありますし、ますます増えています。最近は、「お金のマインドブロックを解除するセッション」と、ブロックを解除したら出合えるという暗号資産運用法というような組み合わせまであります。スピリチュアルで稼ぎたい、心の貧しい良心のブロックが外れた人たちには近づかないように気をつけてください。
※1:Googleなどの検索エンジンの検索窓にキーワードを入力すると表示されるさまざまな検索キーワード候補のこと
※2:あたかもなにか別の存在に憑依されて肉体を支配されているかのように、自分の意識、意思によらず身体が動く自動作用のうち、文字や絵などを描く現象のこと