つい食べ過ぎてしまう年末年始に、日常が始まればまた忙しい中で食生活が乱れがち。
新年なのに、何だかどんよりしていませんか? 身も心もすっきりとしたスタートを!
現代人に不足しがちな食物繊維と、その効果的な摂取方法をご紹介します。
食物繊維不足の現代人
日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、18歳以上の男性↓1日に20g以上18歳以上の女性↓1日に18g以上の食物繊維をとることが推奨されています。
しかし、国民健康・栄養調査(平成24年)によると、日本人が実際に摂取している食物繊維量は、全年齢にわたりこの基準を下回ることが分かりました。
食物繊維とは何か
●食物繊維の歴史
食物繊維は、現代では炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素にく第六の栄養素とまで言われるようになった存在ですが、かつては食べ物のカスだと思われていました。
しかし、コーンフレークを発明したことでよく知られるアメリカのケロッグ博士などが行った研究により、食物繊維が健康にプラスの効果をもたらすことが明らかにされました。そして1971年、イギリスのバーキッド博士により、アフリカで糖尿病や動脈硬化症など先進諸国にみられる病気にかかる人々が少ないのは、食物繊維摂取量が多いからだという見解が発表されました。以来、食物繊維の果たす役割とその重要性が見直され、今では人間にとって不可欠な栄養素として知られています。
●不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
食物繊維は、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類に分けることができます。
不溶性食物繊維とは、野菜などに含まれる糸状の筋で、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動をうながします。よく噛んで食べられるので、食べすぎを防ぎ、あごの発育を促し、歯並びに影響します。
水溶性食物繊維は、水に溶け、ゲル状になります。粘着性があり、消化管をゆっくり移動することから、おなかがすきにくく、食べすぎを防ぎます。また、糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。コレステロールを吸着し、体外に排泄する働きもあります。
●明らかになる食物繊維のちから
食物繊維は、腸内の善玉菌の餌になる、プレバイオティクス効果があることで知られています。最近では、腸内細菌に利用されやすい食物繊維は、大腸における、カルシウムなどのミネラル吸収を促進することが明らかになってきました。
注目の水溶性食物繊維「アガベイヌリン」
●アガベイヌリンって何?
イヌリンとは、植物によって作られる多糖類の一種で、砂糖やでんぷんなどの糖類の仲間ですが、人間はイヌリンを分解する酵素を持っていないため、イヌリンを含む食材を摂取してもほとんど吸収されずに体外へ排出されます。そのため、水溶性の食物繊維に分類されます。
中でもアガベイヌリンとは、メキシコを中心とした乾燥地帯にたくさんみられる、竜舌蘭(リュウゼツラン)科アガベ属のアガベ種の植物に含まれているイヌリンです。チコリ、キクイモ、ごぼう、タマネギ、にんにくなど他の植物に含まれるイヌリンよりも、格段に水に溶けやすく、また、浸透圧が低いことから、下痢を起こしづらいと言われています。
アガベイヌリンの魅力
水分を含んだゲル状となり、消化酵素で消化されずに腸まで達するイヌリンは、糖質の吸収速度を緩やかにし、腸内の余分な栄養や糖分をまきこみながらゆっくり通り過ぎ、排泄されていきます。
また、イヌリンは腸内に達して初めて分解され、フラクトオリゴ糖として働きます。人間の腸内にはおよそ100種類以上、100兆個もの腸内細菌が棲みついており、腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、日和見菌と分けられています。現代の食生活では、悪玉菌に有利なバランスになることが不安視されていますが、フラクトオリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなることで、善玉菌の増殖を助けます。
<らくなちゅらる通信編集部>