患者さんに頭と心の働きの違いを話しているのに、自分はまだまだだなぁと思ったエピソードをお伝えします。「頭(マインド)は考えるのが仕事、心(ハート)は感じるのが仕事です」「頭が働き過ぎると生きるのが窮屈になってきます」「心の声を感じるようにしましょう」「心からやりたいと思ったことはなるべくやって、嫌だと思ったことはしないようにしましょう」と患者さんにはいつも言っています。
それを自分の心に意識を向けた時、気づかないようにしていた感情が残っていることに気づきました。小さな感情は刻一刻といろいろなものを感じています。心に余裕がなくなってくるとそういった、小さな感情も見逃しがちですが、今回気づいたのは、意外に大きなものでした。それは「好きでやっている仕事なのに、きついと思ってはいけない」「楽しそうにしている人を見て羨ましいと思う気持ちを持ったら負けだ」といったものでした。気づいてみると、確かに、日々心のどこかでは感じていたことではあるのです。しかし、日常でその感情が出てきても、すぐに心から消して、なかったことにしていたようです。そういった感情を持ってはいけないと明確に思ってはいなかった(はっきりと言葉にして意識していなかった)ので、気づいてみて少し驚きでした。
マイナスの感情というのは一種のエネルギーです。心にマイナスのエネルギーを持ったままにしておくのは、とても不快なので、どうにかしてその感情をなくそうとしてしまいます。無くす方法は、その不快の原因を外に見つけ出して、~のせいでこうなったと、誰かのせいにしたり、その感情自体をなかったコトにしたりして、心の奥に隠そうとすることが多いようです。外に表現して、誰かにその気持をわかってもらえると癒されますが、なかったコトにして隠してしまうと、カゲに隠れてその感情は増幅します。診察していても、我慢している、言いたいことを言わないようにしている患者さんは、毎日のように受診されています。「我慢していますね」というと泣き出す人も少なくありません。そういったストレスを持った患者さんに、毎日アドバイスしているのに! まさか自分の中にまだそんな大きなネガティブエネルギーが残っていたなんて! でも気づけたので、患者さんへのアドバイスも以前よりわかりやすくできそうです。以前、お伝えしたマイナス感情を受け止める方法を参考にしてみてくださいね。(16年8月号参照)
我が子を心配するように 自分を大事に扱ってあげる
今回、自分自身が、見ないようにしていた感情に気づいてみて、自分の感情、本音をもっと大切にしないといけないのだと思いました。コツは常に心の状態に気を配ること。今どう感じている? 大丈夫? もっと言いたいことはない? 何がしたい? というように、我が子を心配するように、自分自身を大事に扱ってあげること。少しずつ本音が出てくるようになります。これは、インナーチャイルドを癒やすことでもあります。インナーチャイルドは、幼い子ども時代の記憶や心情を指します。なかでも特に、傷ついた記憶や心情について称することが多く、成人してからの思考や言動に強く影響すると言われています。実際に、幼いころの自分をイメージして「今どう感じている?」と聞いてみたり、その子の表情を読み取ってみたりしても良いと思います。
心の声を大切にすることは、頭の思考を手放すことです。こうあるべき、そうしてはいけない、世間の常識では、などの思いが心の声をかき消してしまいます。こだわりを手放して、心の自由を手に入れたいですね。
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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