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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

考える癖

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自分の昔の写真を見て、現在のわが子と似ていて驚くことがあります。親子なので容姿は似ることは納得できるものの、ときに立ち姿や表情までもが似すぎていて笑ってしまいます。

「なくて七癖」といわれるように、癖はないように思っていても多少はあるもの。自分では無意識のうちにしていることを、自分以外の存在が鏡となって気づかされることもありますね。そんな癖も個性と考えれば、悪いことではないでしょう。

思考のクセ

「ガン家系だから……」と耳にすることがあります。実は本当に遺伝するガンは多くはありません。私なりの勝手な解釈では、「先天的遺伝」と「後天的遺伝」と呼んでいます。

先天的遺伝とは、本当に遺伝的な特性による体質的な素因を引き継いでいる場合。後天的遺伝とは、本来は遺伝によるものではなく、家族が一緒に住んでいれば同じものを食べるため、考え方も似てくるのは当然で、そうした生活習慣による影響のこと。生活習慣を見直すことで元気になる可能性があるのに、家系だからと諦めてしまうのはもったいないことですね。

長引く不調の相談で、「念のために病院で検査を」とすすめ、難病や障害が見つかることがあります。診断と治療は別のものであり、そのまま病院で治療を受けるかどうかは自分で選択できます。別の病院でセカンドオピニオンをとること、鍼灸治療で可能なこと、民間療法にも優れたものはあること、自分で日々できることなども含め、情報としてお伝えしてきています。

難病や障害が見つかったとき、考え方の癖が出てくるものです。「ずっとしんどかった理由がわかった」と納得する人、「普通じゃなくなった」と悲観する人、それぞれです。納得できる人は自分をよく見ていて、受け入れ、これから先、前を向けるまでが早い。悲観する人は時間がかかりがち。過去の自分であったり他人と比べたり、そこで「普通って、なに?」と問うてみても、なかなか答えが見つかりにくい。「普通」という基準がどこかにあるわけでもないのに、それに縛られてしまうのは苦しいことですね。

つい1年ほど前までは、マスクを着ける人はせいぜい2~3割程度でした。冬なら「風邪?」、春なら「花粉症?」と、周囲から心配されていたものです。それが今では9割以上がマスク姿。自分の意志で「必要ない」と着けない人だけでなく、病気や体質上の理由で着けられない人までが、悪者のような目で見られたりします。これほどまでに短期間で人の行動が変わってしまうものかと驚きます。

人の「普通」など、ある日突然180度変わってしまうこともある、曖昧でいい加減なものなのです。

Go To 、いいの?

年末年始の帰省、した人としなかった人がいるでしょう。また、Go Toキャンペーンを利用して旅行した人、しなかった人、予約はしたけどキャンセルした人もいるでしょう。どの選択にも、良いも悪いもありません。

Go To キャンペーンの見直しが話題となったときに、「早く決めてほしい」という街の人の声が、新聞に載っていました。インタビューにはマスク姿で答えているだろうに、旅行でのコロナは怖くはないのでしょうか。

コロナは怖いけれども、政府がGoだから旅行するのだとしたら、たかだか数千円から数万円の割引額のほうが自分の生命や健康よりも価値があるということになってしまいます。一方でもしもコロナが怖くないのだとしたら、割引がなくても旅行すればいいし、マスク姿でいることとも矛盾してしまいます。それを掲載するメディアの思慮のほども疑いたくなります。

自分の行動は、ほかの誰でもなく自分が決める。そう考える癖は子どもたちに受け継いでもらいたいものです。

- 鍼療室からの伝言 - 2021年1月発刊 vol.160

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