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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

無意識の意識

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「ご自身は健康のために気をつけていることはなんですか」と尋ねられて、返答に困ることがあります。とくに「これ!」と挙げられるほどのことはしていなくて、強いて挙げるとすれば、意識せずとも健康でいられるような心構えでしょうか。
例えば、運動について質問されれば、「ときどき長めの距離を歩く」けれど、それは自分が歩きたくて歩いているので、義務感で歩いているのではない。同じように、ファストフードは?と尋ねられたら「食べない」し、食品添加物は「避ける」けど、無理に避けようとしているのではなくて、美味しくないし、欲しいと思わないから食べてないだけ。こういう態度が、「意識高い系なんですね」と言われることも。でも、朝食は「食べない」し、減塩は「気にしない」など、多くの人とは異なるという自覚はしているけれど、それを意識が高い・低いとも思いません。

ひとつだけ言えるとしたら、なにかをやらなければならないと肩に力が入ることのほうが良くないでしょう。

知識より、意識

健康や病気に関する知識はどんどん広まっています。なかには専門家を上回るのではないかというくらいなんでも知っている人もいます。しかし、病気は減ってはいません。知識だけでは十分ではないのでしょう。交通事故だって同じ。自動車の安全性能は驚くほど進化していて、交通ルールはますます細かくなっているけれど、事故そのものはなくならない。装備やルールよりも大切なことがあるのでしょう。

新しく流れてきた情報を知識として取り入れるばかりになって、日々の生活における意識に問題はないでしょうか。知識が増えて気をつけないといけないことも増えるばかりで、不安だけが増していないでしょうか。知識が増えて不安が増えているのならば、それはむしろ意識のほうに問題があるのかもしれません。

子どものころに健康に不安がなかったのは「元気」だから。それが、当たり前のことだったからでしょう。不安というのは後から自分が付け足していったものかもしれません。

知識を「道具」、意識を「使い方」と言い換えるとわかりやすいでしょう。使い方のわからない道具ばかりが増えても、怖くなってしまいそうです。まずは使い方のわからない道具は手放して、自分の普段の生活にはこれだけあれば成り立つというものを大切に育てていく。健康に関しても同様で、これだけは自分がやっていくことというのを拠りどころとしていけばいいでしょう。

そこからの意識として、できるだけ笑っていられるように努める。ときには、イヤなことも起こるし、人からイヤなことを言われたりもします。そんなときに、「なんでこんな目に遭うのだろう」とか「なんでこんなことを言われなければならないんだろう」と、答えの出ない質問を繰り返すより、「こんなこともあるよね」と流していく。いまのこのタイミングでこんな経験をさせてもらえて、きっとなにかの学びになるだろう。次にまた似たようなことがあっても「またか」と思える。そうやって前を向いていられるほうが、無駄にストレスを溜めずにいられるでしょう。

大切にしたいものを大切に

禅の言葉に、「水急不流月」とあります。流されるもののなかにあって流されないもの。川の水が勢いよく流れていても、水面に映る月の姿を流すことはできないということです。時代が移り変わっても、真理というものは流されることがない。不変の拠りどころとなるものです。「人に嘘をつかない」とか、「人を傷つけない」といった、人が生きていくうえで大切にしたいものを大切にする。そういう真理を忘れないように生きていきたいですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2025年8月発刊 vol.215

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