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でこぼこ道を歩むなかで

でこぼこ道を歩むなかで発達凸凹を持つ シンガーソングライターによる日々の気づき

応援ソングライター

yu-ka (ゆーか)

兵庫県生まれ。関西学院大学国際学部卒。日々の生活で感じた喜びや悲しみの感情たち、大切な人へのメッセージを曲にしてきた。2017 年シンガーソングライターとして活動開始。発達障害当事者で、発達凸凹の方を応援する『はったつソング』を作って歌ったり、一人ひとりに想いをヒアリングしてその方の背中をそっと押すようなオリジナルの応援歌『応援ソング』を作って届けたりしている。

こころがふるえた先に

投稿日:

ライブの出演者でありながら、実行委員もつとめた「みんNANOライブ」が、12月1日に京都の紫明会館で無事に開催されました。数日が経ったいまも、ずっと余韻にひたっています。
 
シンガーソングライターの活動を始めて2年。60回ほど、ライブに出演しましたが、この日初めて弾き語り最中に泣くという経験をしました。それも、少しではなく号泣。ステージで、よい子を演じず、かっこ悪いところも含む姿を表現できた記念日になりました。
 
過去の恋愛についての曲、セクシーさを交えた表現がある曲、前日に作ったばかりで完成度が低いかもしれないけれど、どうしても届けたかった曲。自ら「タブー視」していたものを演奏しました。曲順も決めきらず、その場で歌いたい曲を選んで歌いました。いつもよりもさらに自己開示をしようとステージに臨んだため、怖いという気持ちもありましたが、いざ終わってみれば、びっくりするほどせいせいしました。また自分の心を解放しきって、歌でお届けすることができたという達成感もありました。
 
「自分が本当にやりたかった理想のライブはこれだ」と確信したものの、「そもそもライブとは何なのだろう?」という疑問が頭をよぎりました。

ライブに求めるものって何だろう?

いまはインターネットで、さまざまな有益な情報を見つけられる時代です。それでも、歌だけでなく、イベントや講演を含む、「ライブ空間」へ足を運ぶ理由は何なのでしょう?

直接顔を合わせることで、その方の雰囲気や熱量を感じたいから。その場に行くことで、自分のなかで何かしらの変容が起こり、その後の行動が変わることを期待しているから、ではないでしょうか。変化の前には、きっと強く心が動くことが必要で、インターネット越しよりも強い感動を味わうために、ライブに足を運ぶのかもしれません。
 
ふと、「ライブ」を辞書で調べると、「ラジオ・テレビなどの録音・録画ではない放送。生演奏」そのほかに、気になる表現がありました。
 
『音や場所が反響すること。残響があること。また、そのさま――』
 
読みながら、「みんNANOライブ」では、「響く」瞬間を何度も味わっていたのかもしれないと思いました。響きはきっと、ライブがおこなわれた古き良き会場や、集う方、共演者。たくさんの力が合わさって生まれたのだろうと。
 
共演者が自らの言葉で歌っているとき、感情が会場中に響きわたり、自分の心と強く共鳴する感覚がありました。ステージ上で、歌を紡ぎはじめようとするものの涙が止まらなかったとき、気持ちがこめられた拍手が、大きく心に響いた気がしました。実はピアノの角度により、お客さまの顔があまり見えませんでしたが、ありがたいことにとても近くで、あたたかな想いを受け取った不思議な感覚になったのです。
 
このライブでは、「自分の言葉と音」によるオリジナルの表現を「いのちのかけら」として尊重し、認め合うことを大切にしています。主催者でシンガーソングライター仲間のFUKKO(藤嶋ひじり)さんをはじめとする運営者の想いが会場中に響いていたからこそ、会場からお客さまの気持ちや音が「反響」したのかもしれません。
 
さて、年が変わる節目ということで、今後、どのようなライブを作っていきたいのだろうと考えました。やはり勇気を出して素直に表現して「自分の心がふるえる」ことで、相手の心をノックしたい、共鳴したいのです。また、会場やお客さま、共演者とまざりあい、その瞬間だからこそ生まれるものを大切にしながら、空間を作っていきたい。
 
だから、ライブの時間はいつだって、魂からぶつかって臨みたい。濁りのない、そのときに感じたありのままの感情を、言葉と歌に乗せて……。

- でこぼこ道を歩むなかで - 2020年1月発刊 vol.148

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