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法の舞台/舞台の法

日常のなかにある法律問題踊る弁護士の活動報告

弁護士/舞踏家

和田 浩 (わだ ひろし)

1977 年新潟県柏崎市生まれ。京都大学総合人間学部卒業。弁護士として、さまざまな分野の事件に取り組んでいる。なかでも、障害者の権利に関する案件に多く携わっている。他方、舞踏家として舞台活動もおこなっている。福祉、芸術、司法の連携について、あれこれ考えている。
縁(えにし)法律事務所 京都市中京区蛸薬師通烏丸西入橋弁慶町224 SOHO 烏丸104 075-746-5482

優生保護法

投稿日:

仙台地方裁判所判決

5月28日、仙台地方裁判所で判決が言い渡されました。優生保護法という法律に基づき強制的に不妊手術を受けさせられた原告が提起した、全国初の国家賠償請求訴訟の判決です。判決では、優生保護法が憲法違反と判断される一方、裁判による原告の救済は否定され、原告の請求が斥けられました。この判決は報道機関により大きく報じられ、ご存じの方も少なくないと思いますが、現在も進行中の重要な法律問題であり、また、社会全体で共有し、解決すべき課題でもあると考え、今回、ご紹介したいと思います。

優生保護法

優生保護法は、1948~96年まで日本に実在した法律です。この法律には、優生思想を理論的根拠として、障害者に対して強制的に不妊手術をおこなうことなどが規定されていました。政府の発表では、実際にこの法律により強制的に不妊手術を受けた障害者の数は、約1万6500人とのことです。このように、障害者の子をもうける自由と喜びを永遠に奪い、人間性を深く傷つけることを正当化する法律が、わずか20数年前まで存在したのです。

しかし日本国憲法は、私たち個人の人権を保障しています。人権を不当に侵害する法律は、違憲(憲法違反)であるとして、無効とされます。優生保護法は、障害者が子を生み育て、幸福を追求する権利などを合理的な理由なく侵害するもので、違憲・無効とされるべき法律です。それでも、おそらく最近まで、その違憲性がまともに論じられたことはありませんでした。

近時の社会の動き

優生保護法が実在した間はもちろん、同法廃止後も、しばらくの間、同法により強制的に不妊手術を受けた方が訴訟を提起したことはありませんでした。しかし昨年1月、宮城県在住の被害者の方が、全国で初めて、優生保護法による強制不妊手術が違法であるとして、国家賠償請求訴訟を提起しました。

この提訴がきっかけとなり、昨年以降、優生保護法の問題が報道機関で大きく取り上げられるようになりました。法曹界もこの問題の重大性に気がつき、昨年5月に全国弁護団が結成されました。また、全国各地で被害者が名乗りを挙げたことから、全国各地でも弁護団が結成されました。私は、全国弁護団と京都弁護団に所属しています。

他方、こうした動きを受けて、昨年より、国会で優生保護法により被害を受けた方の被害回復のための法律制定について検討が始まりました。そして今年4月、被害者に対して一律に320万円を支給するという内容の被害回復法が成立しました。しかし、この法律には、優生保護法の違憲性についての言及がない点、支給金額が低廉にすぎる点、被害者本人が亡くなった場合に相続人が支給対象外とされている点など、多くの問題が指摘されています。

今後の課題

さて、冒頭の仙台地裁の判決に話を戻します。仙台地裁は、優生保護法が子を生み育てるかどうかを意思決定する権利を奪うものであったとして、憲法に違反し、無効と判断しました。ところが、すでに手術時から20年が経過している(法律用語でいうと「除斥期間を経過している」)などとして、原告の請求自体を棄却しました。すなわち、優生保護法を違憲としておきながら、原告の救済を否定したわけです。

この判決にはさまざまな批判が寄せられ、原告も弁護団も納得していません。そのため、今後、舞台は控訴審に移ります。また、全国各地の地方裁判所でも、国家賠償請求訴訟が提起されています。私は弁護士として、また、この社会の一成員として、今後も被害を受けた方の法的・精神的救済のための活動を続けなければと思っています。

- 法の舞台/舞台の法 - 2019年7月発刊 vol.142

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