今月は「黒糖作り&バナナスイーツ作り体験」の今後の抱負を紹介します。
かつて宮古島では馬・牛・ヤギといった家畜が、畑の耕起や荷物の運搬、サトウキビの圧搾などの作業を手伝っていました。現在はトラクター、トラックなどの機械が行き渡り、作業負荷が軽減され生産性が向上する一方で、農畜産業や製糖業に関わる地域内の産業の仕組みが変化し、個別作業の分業化により相互のつながりがなくなったり、見えにくくなったりしています。
現在の「黒糖作り&バナナスイーツ作り」の体験プログラムは、「美味しい・楽しい・学べる」要素を盛り込みながら、滞在期間の短い観光客向けに2時間に設計した集約型の体験です。時間の制約上、生命のスタート(苗の植付)や循環型農業の実践については、写真解説のバーチャル体験で補っています。
今後、時間の壁・分業の壁を越える工夫を凝らして、「かつて息づいていた地域内産業の循環がわかる体験型食育プログラムに成長させる」ことを考えています。たとえば、今年訪れたお客様が苗の植付をしたサトウキビを、翌年訪れるお客様が収穫して、次の苗の植付をする。生命の循環をお客様同士がつなぎ、リアル体験に変える。また、サトウキビの梢頭部が家畜の餌になり、有機堆肥として畑に還元されていた自然の循環についても、関係者をつなぎ、リアル体験に変えたいと思っています。
(1)育苗~収穫:成長プロセスの前後のつながり、(2)生鮮作物~製品:製造プロセスの上下のつながり、(3)相互に支え合う産業間の左右のつながり。これらを体験することで、バラバラの点に見えていた作物や産業が線、面、立体に見えるようになり、食や農に対する理解や愛着が深まることを期待しています。