前号では、当初は歓迎された外来種が、後に嫌われ者になった事例のひとつとして、マングースをご紹介しました。当初はサトウキビ畑に被害をもたらすネズミとハブの駆除が目的でしたが成果はなく、絶滅危惧種に指定されている多くの在来生物が捕食され、生態系に甚大な被害をもたらしました。前号に引き続き、外来種の事例をご紹介します。
「アフリカマイマイ」
東アフリカが自然繁殖地とされる世界最大級のカタツムリで、食用目的で1932年に台湾から沖縄に持込まれました。大きいものだと殻のサイズは15cm以上にもなり、戦時中の食糧不足の時期にはタンパク源として食用に利用されたものの、戦後の食生活に定着することはありませんでした。サバンナ地帯原産のアフリカマイマイは乾燥に極めて強く、雑食性に加え、移動能力や生殖能力も高く、養殖の管理下に置かれなくなった後、広く野外繁殖しました。野菜の茎や葉などを食べる「農業被害をもたらす害虫」としてすっかり嫌われ者のアフリカマイマイですが、うちの畑ではバナナの株元に多く潜んでいて、子どもたちが見つけると、その大きさにびっくりしています。
「ギンネム」
南アメリカの熱帯地域原産のマメ科の植物で、緑肥や薪材としての利用目的で1910年以降に沖縄に持込まれました。戦後には焼け野原の緑化の目的で米軍が種子を空中散布したそうです。根っこの周りに窒素を固定するマメ科植物ならではの緑肥効果があり、また成長が早い為に薪材としての利用が期待されたことも理解できます。しかし、繁殖力が強すぎました。ミモシンという毒性物質を葉っぱから放出して他の植物の生長を抑制するアレロパシー作用もあり、栽培管理できずに野生化し、繁殖したギンネムはなかなか手に負えません。30cm以上地中深くに根っこを伸ばし、地上2メートル以上の高さに成長し、雑草ならぬ雑木となって管理を怠った畑を覆いつくします。うちの畑の一部もギンネムに占領されています(泣)
バナナ畑に入り込んだギンネム