バッチフラワー物語

【Vol.70】第2話「未来からの声」その4

東京の下町にある「苦手喫茶」に集う常連たちと訳ありのお客たち。マスターのある特技を頼りに、常連たちと訳ありのお客たちが集う。ある日相談に来た女性の悩みの解決の鍵は、常連客のツルさんが知っているという…

 ツルはみんなの視線を受け止めると、言葉を選びながらゆっくりと話し始めた。「もし、人に感情がなかったらと、想像してみて」「何を食べても、どこに行っても、誰に会っても楽しくもなんともなかったら…それは生きているっていえないはずよね。つまり、
感情があるから生きているという実感があるわけ。でも感情があるから苦しいことも多いわね。あたりまえだけど、人間のすべての喜びと悩みは、感情がカギなわけ、いいわね、ここまでは。」みんなが頷くのを待って話を続けた。
 「問題は、感情は無意識の反応だから誰にもコントロールできないってこと。嫌なことがどうしても頭から離れなかったり、怒りが不意に湧きおこってきたり、またムリに感情を抑え込めば無意識に潜り込むし、つまり、感情は生きる糧でもあり、同時に悩みの種、これを少しでもコントロールできたら、人生の意味が変わるような、さらには人の進化の意味が変わってしまうような重大な出来事になる可能性があるとわたしは思うの。」「そして、とうとう人類は、歴史的にも初めて感情を理解しようという地点にたどり着いた、それがバッチフラワー
なのよ。」

 「バッチフラワー?ですか」林田が尋ねた。「ええ、今から約70年前、一人の英国人の医師が花には人の感情に影響を与える力があることを発見したの。そして、感情を38に分類したわけ。そして、分類した感情に対応したそれぞれの花があることを見つけたの。それがバッチフラワー。「チ何とかリ」は実はチコリのことで、チコリはバッチフラワーの中で8番めの花こと。「愛情のトラウマ」がある人に使うものなの。」
 「はあ、そこまではなんとか理解できました。ただ、なぜ未来の自分がそのバッチフラワーを教えてきたのですか ? 」林田は真剣な顔で聞いた。「そうね、ほんとうのところはまだ私にもよくわからないけれど、たぶん、未来の進化した存在にとって、感情のコントロールは大事な意味を持つってことでしょうね、最近はなぜか未来人はバッチフラワーをいってくることが多いのと、あまり時間がないらしいの。」

 「時間がないってどういう意味でしょう、マスター?」林田が言いかけたその時、バーンというもの凄い衝撃音が外でしたと同時に、ドアの小さな窓ガラスが粉々に吹き飛んだ。同時に家がガタガタゆれ出した。何かが爆発したのだとツルは思った。幸い誰
もケガはなく慌ててドアを開けて外に出ると、2月のよく晴れた夕空に、白い雲が一直線に富士山の方向に延びていた。みんなでその雲をしばらく眺めていた。店に戻って急いでラジオを付けると、比較的大きな隕石が東京上空を掠めて、山梨の甲府のあたりに落下した。山手線と新幹線は止まり東京中が大騒ぎになっていると速報を伝えていた。
 しかし、マスターだけは何事もなかったかのように、すでに割れたガラスを片付け、カレンダーをハサミで切って、窓枠にガラスの代わりに画鋲で貼り終えると、いつものように新しいコーヒーを淹れていた。

※『バッチフラワー物語』は今号でいったんお休みをさせていただきます。楽しみにしていただいている皆さま、申し訳ございません。再開をお待ちいただけますと幸いです。

矢吹三千男

矢吹三千男氏生来の虚弱体質で16歳の時に十二指腸潰瘍を患い、ヨガと占いにはまる。二十歳の時には身長が175センチで体重は50キロ。いつも複数の薬を持ち歩く。様々な健康法を実践するもほとんど効果なく、ようやく食養生で体質改善に成功したのは30代も半ばを過ぎていた。その時、生まれて初めて「健康」を実感する。製薬会社勤務などを経て、その後バッチフラワーに出会い、現在(株)プルナマインターナショナル代表。著書『感情のレッスン』文芸社刊

こころと感情を癒す花のメッセージ「バッチフラワーレメディーイギリスで70年以上の伝統がある花の療法です。依存性や習慣性もなく、世界60数カ国で多くの人々に愛され続けています。バッチフラワーレメディーの詳細はこちら>>

【Vol.69】第2話「未来からの声」その3

東京の下町にある「苦手喫茶」に集う常連たちと訳ありのお客たち。彼らが頼るのはマスターの持つある特技。男運がないと相談に来た女性は小さいころから小さい黒い生き物が見えていた…その正体は悪魔…!?

(前回からの続き)
 「ということは、小さいころから悪魔を見ていたってことになりますね?」「そうですね…なにか困ったことが起きると必ず現れて、彼も年を取るみたいで、今ではすっかりおじさんになってしまったのですが、私を守っているみたいなんです。」まるでそれが当たり前のことのように女は語った。「そうか、その悪魔が、あなたを捨てて行った男達に復讐しているのかもしれないな。」
林田が真面目な顔で言うと、「そんなことあるわけないでしょ!」ツルは首を横に振りながらきっぱりと言った。「ばかばかしい話よ。ディズニーの悪魔が勝手に復讐して廻るなんて、ありえないわよ!絶対に!」
 「じゃあ、どう説明すればいいんですかぁ、マスター?」林田は納得できないというふうにマスターに答えを求めた。「ん、それじゃ、そろそろ、はじめようか。」マスターはそれだけ言うと、またするすると、スクリーンと見まがう大きさの液晶テレビが奥
の壁を塞ぐように降りてきた。
 今度の映像はさっきとは少し違う川のようだった。しかし、やはり石造りの古城が川岸に建っていて、おそらくドイツあたりの景色のようだ。みんなで川の流れる映像に目を向けた。川は不思議な存在だ。形があるようで、形がない。絶えず変化し続けながらも川はどこまでも川だった。じっと画像を見ていると、脳の中のどこかのスイッチが確かに切り替わった。

 しばらく時間が経って、マスターが女に声をかけた。「なんと言っておったかね?」「はい、『チ何とかリ』と聞こえたように思いました、それと、もうあまり時間がないと。」「チ何とかリって???」林田が怪訝そうな顔をする。「チコリね」ツルは心の中ですぐにそう思ったが、今は言わないでいた。
 「ところであの声の人はいったい誰だったのでしょうか?」今度は女がマスターに尋ねた。「ああ、見えたんだね。そうか…本当はその人がだれかもうわかっておるのじゃろう。」「いいえ、なんだかよく知っている人のような気がしたけれど…。」「そう、
そう、確かによく知っているはずの人、なぜならその人はあなた自身なのだから、ただし遥か未来のね。未来の自分が、過去の自分にいつもヒントを与えてくれているのじゃよ。」マスターはさらに続けた。
 「そこがよくわからないんですが?未来の自分っていうのは未来からやってくるんですかね?」真面目な顔で林田が尋ねた。「過去も、未来も、現在に集約される、つまり、同時に起こっている。今、自分が変われば、過去の自分も、未来の自分も変化するのじゃよ。」「よくわからないけど、とにかく、未来の自分が過去に自分のためにアドバイスしてくれているわけですね?で、その答えが『チ何とかリ』っていうのがさらに謎ですが…。」
 林田の問いに「うん、うん、その答えは…。」マスターは少しさめた残りのコーヒーを飲み干すと「その答えは、ツルさんが知っている。」そこにいた全員がツルの方を見た。
(続く)

矢吹三千男

矢吹三千男氏生来の虚弱体質で16歳の時に十二指腸潰瘍を患い、ヨガと占いにはまる。二十歳の時には身長が175センチで体重は50キロ。いつも複数の薬を持ち歩く。様々な健康法を実践するもほとんど効果なく、ようやく食養生で体質改善に成功したのは30代も半ばを過ぎていた。その時、生まれて初めて「健康」を実感する。製薬会社勤務などを経て、その後バッチフラワーに出会い、現在(株)プルナマインターナショナル代表。著書『感情のレッスン』文芸社刊

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【Vol.68】第2話「未来からの声」その2

東京の下町にある「苦手喫茶」。一見何の変哲もない店に集う常連たちと訳ありのお客たち。彼らが頼るのは、マスターの苦手雄蔵(ニガテユウゾの持つある特技。今日の悩みは…

(前回からの続き)
 「わたし好きな人ができると、ついつい何でもしてあげたくなってしまうんです。」

 「例えば ? どんなこと ? 」今度はツルが聞いた。 「そうですね、例えば、夜中の2時でも3時でも、帰ってくるまでずっと起きて待っていたり、とにかくわたしにできることは何でもしてあげないと気が済まないんです。それに、好きな人ができるとなぜかどんどんお金も入ってきて、いつもそうなので、全部使ってしまってもちっとも惜しいとも思わないんです。」「彼もはじめはすごく喜んでくれているのに、気がつくとわたしの元から離れて行ってしまうんです。」
  「それはつまり、尽くし過ぎるということですか ? 」林田はしだいに話に引き込まれていく様子だった。「尽くし過ぎて結局、相手をダメにしてしまうということなんですかね。」 

 女は無言で目を伏せた。「ただわからないのは、そんなにいろいろしてもらっているのに、なんでみんな最後は悲惨な目に、いやいや、不幸な目に、でもなく、よろしくない目にあってしまうのだろうか?」林田が言葉を選びながら誰にともなくつぶやいた。

 沈黙がしばらくその場を支配した。その後に、ようやくマスターが口をきいた。「真実を伝えようとする意図とは別に、何かを隠そうとしてしまうのがお話というものなんじゃよ。」
 「つまり、どういうことですか ? 」林田が眉を寄せて、首をかしげた。「あんたは小さいころ、親に見捨てられたことがあるのではないかね ? 」マスターの問いに女は何か思い当たる様子だった。

 「あの…。」「弟が生まれつき重い病気で、私はずっとお祖母ちゃんの家で育てられたんです。」「時々家に帰ると、母はいつも弟に付きっ切りで、小さいころから母とゆっくり話をした記憶がほとんどありませんでした。物心ついた時には自分の服は自分で洗濯していたし、学校のお弁当も毎日毎日、自分で作って行きました。」「別にそんなことは当たり前だと思っていたので、辛いとかそういうことは全然なかったです。ただ…ある時…学校の帰りに部活で少し遅くなって、友達の家の前を通ったら、偶然、夕ご飯の様子が垣根越しに見えて、その光景にひどく打ちのめされてしまったんです。すごくショックでしばらくその場を動けなかった。ああ、他の家ではあんなに楽しそうにみんなで食べるんだって、初めて気が付いたんです。そしたら、なんだか自分だけが親に捨てられた子犬みたいな感じがしてきて、涙がポロポロ出てきて止まらなかった…。」「たしかその日からなんです。時々部屋の片隅や、こたつの中に、小さい黒い生き物が見えるようになったのは。」
  「小さい黒い生き物 ? 」いつの間にかぼんやり話を聞いていた林田が驚いたように目を開いた。「そうですね、ディズニーなんかによく出てくるような、そうそう、トランプのジョーカーみたいな感じの…。」「それって、あ、あ、悪魔ってことですか ! 」「ええっと、あれって悪魔なんでしょうかね ? 」女は自分でもよくわからないという感じで首をかしげた。


矢吹 三千男

矢吹 三千男氏 生来の虚弱体質で16歳の時に十二指腸潰瘍を患い、ヨガと占いにはまる。二十歳の時には身長が175センチで体重は50キロ。いつも複数の薬を持ち歩く。様々な健康法を実践するもほとんど効果なく、ようやく食養生で体質改善に成功したのは30代も半ばを過ぎていた。その時、生まれて初めて「健康」を実感する。製薬会社勤務などを経て、その後バッチフラワーに出会い、現在(株)プルナマインターナショナル代表。 著書『感情のレッスン』文芸社刊

こころと感情を癒す花のメッセージ「バッチフラワーレメディー イギリスで70年以上の伝統がある花の療法です。依存性や習慣性もなく、世界60数カ国で多くの人々に愛され続けています。 バッチフラワーレメディーの詳細はこちら>>