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ハツキ的“らくなちゅらる”な生き方

常務取締役
室長/管理部長兼

中川 葉月 (なかがわ はつき)

【Vol.59】祖父のとまどい

投稿日:

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 先日、久しぶりに大分の祖母に会いに行ってきました。もうすぐ2歳になる次男を見せに行くためです。祖母は、10年ほど前に祖父が亡くなってからはひとり暮らしをしており、すっかり小さくなってしまったように感じました。それでもひ孫をみながら「ここは、旦那さん似やな。でも、はつきの小さいときにそっくりやな」などといって、大変よろこんでくれました。祖父が生きていたら、どうだったかな。と、お仏壇の前で思いました。

 わたしが小学生のときまでは、週末には祖父母の家に行き、過ごしていました。わたしが初孫だったこともあり、蝶よ花よといわんばかりのかわいがられようでした。しかし、小学校6年生の時に両親が離婚してからは、20歳までは会うことが叶わなかったことがあります。

 20歳になったときに、数年ぶりに祖父母に会いに行きました。

 しかし、わたしにはそのときのいい思い出がありません。というのも、数年ぶりに会うのだからさぞよろこんでくれるだろうと思っていたのに、祖父はとてもよそよそしく、わたしとほとんど会話もしてくれなかったのです。「あぁ、おじいちゃまはわたしのことが嫌いになってしまったんだ」と、ふとんの中で泣いていたことを覚えています。そのときが、祖父に会った最後でした。

 後に祖母がいうには、わたしが来る数日前から「はつきが帰ってくるから、気持ちいいお風呂にいれてやらんと」と、薪割りに精を出し、家中を掃除してまわっていたそうです。ですから、どうしてあのときに、祖父はわたしにあんなに冷たかったのかということが、ずっと胸にしこりのように残っていました。

 ところが今回、いとことの会話でわたしのしこりはなくなりました。仲良く遊んでいたいとこは、今では170センチを超えるスラリとした大人の女性です。「わたしの中では、いつまでも赤ちゃんのイメージなのに、大きくなったよね~」とわたしがいうと、

「そうそう、はつきお姉ちゃんが大学生になって帰ってきたとき、おじいちゃまの驚きは端から見ていておもしろかったわ。おどおどしてどうしていいかわからん感じやったわ」

と、いとこがいうのです。なるほどと思いました。祖父の中で、わたしはずっと小さな女の子のままだったのです。久しぶりに帰ってくると心待ちにしていたら、20歳の大人の女性になっていて驚いてしまったのでしょう。わたしが嫌いになったのではなく、女の子じゃないわたしにとまどっていただけだとわかると、そんな祖父がとてもかわいらしくも感じてしまいました。

 今回、祖父の想いを知ると、さらにひ孫に会わせてあげたかったなと思いました。お母さんになったわたしにとまどいながら、ひ孫を抱きしめてチューをする姿が、目に浮かびます。祖父のお仏壇の前で大騒ぎをする息子2人を連れて、また大分にいこうと思います。

- ハツキ的“らくなちゅらる”な生き方 - 2012年8月発刊 Vol.59

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