観光シーズンに入り、「サトウキビ収穫~黒糖作り体験」の案内も忙しくなってきています。
体験案内では、手回し式の圧搾機で収穫したてのサトウキビジュースを搾る際に、サトウキビの糖度も計ってお見せしています。
サトウキビの旬は、実は冬場。寒さと水切れのストレスがかかって、茎内に糖分を蓄えます。
逆に、梅雨明けのこれからの時期は、茎内に備蓄した糖分を消費して成長するので糖度は落ちてきます。
そんななか、昨日収穫したサトウキビが、7月に入ってまさかの糖度25度を記録しました!どれだけ驚異的な糖度であるかわかっていただくために、二つの比較数値を並べます。
オルタナティブファームでは、冬場の旬を迎えた収穫時期で、19~22度を目標設定していて、また、一般の慣行栽培では、この時期、13度ぐらいまで落ちています。
では、驚きの高糖度は何に原因するのでしょうか?私は、サトウキビが受けた大怪我であろうと推察しています。
初めて収穫体験をされた方が、誤って隣のサトウキビに鎌を当ててしまうことはよくあることです。
昨日も大きな損傷を受けたサトウキビを見つけたので、整理のつもりで収穫しました。
上部の茎や葉の色は健全でしたが、根元近くで茎の断面80%ほどが断たれて、皮一枚で繋がっているような状態でした。
傷の近くはやはり不味だったのですが、少し離れると完熟した良い状態だったので、搾ってみたのです。
傷を受けたりストレスに曝された際に発揮する自己修復・自力回復能力において、自然栽培のサトウキビは非常に優れていると思います。
冬場にストレスがかかって、茎内に糖分を蓄えるのと同じ機能を作用させたのではないだろうかと考えています。
やはり自然の驚異は超えられないなぁと感じました。
オルタナティブファーム宮古代表
松本 克也(まつもと かつや)
自動車メーカーなど14年の研究職を離れ、2012年5月に家族4人で宮古島に移住。
約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。
畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。
その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。