最近、子どもとのドライブなどで、時間を持て余したときに「いいこと探しゲーム」をしています。「今日は○○に行けるぜ！イエーイ！」とか、「○○のご飯が楽しみだぜ！イエーイ！」などと、それぞれが順番に言って、「イエーイ！」のところは家族みんなで言うというゲームです。ゲーム開始直後は調子よく“いいこと”が出てきますが、続けているとだんだん言うことが少なくなってきます。そこは少しがんばってでも、“いいこと”を探します。どんな些細なことでもＯＫなので、「今日天気が良くてよかった」とか、「昨日のご飯が美味しかった」とか、「いいこと探しゲームができている」ということでも構いません。

ちょっとおバカな家族みたいになりますが、とても楽しい気分になります。ぜひ、家族みんなで挑戦してみてください。もちろん一人でもできます。

問題解決のための欠点探しモードは放っておくとエンドレス

やってみると気づく人もいると思いますが、いいことを探そうとするだけで脳のモードが切り替わります。

通常、脳(マインド＝自我)は問題点を探して、改善しようという視点をもっています。このモードは、いってみれば“欠点探し”のモードです。とても優秀で、いつもこのモードが働いているため、素早く上手に問題点を見つけることができます。上手に使うと、問題を解決してくれる頼もしい存在ですが、弱点は自動停止機能がないことです。どんな状況でも働き続けようとするために、いつまでたっても幸せだなあと感じることができません。

例えば、100万円貯金するという目的を持った場合。お金を貯めるために、マインドが問題点を改善してがんばってようやくお金が貯まったとしましょう。目標が達成された瞬間は、達成された喜びはあるかもしれません。しかし、すぐにマインドが働いて、「このお金が減ったらどうしよう」「もっと増やすにはどうすればいいだろう」「誰かに盗られないだろうか」と、さらなる欲求や不安感で、幸せとはほど遠い状態になってしまいます。

そこで意識的にプラスの面を探すということをしてみると、マインドの行き過ぎを止めることができます。秘訣は、前号のほめ日記と同様、いいことの基準はできるだけ低いほうがいいということ。普段あたりまえだと思っていることに対して「いいことだなあ」と感じる練習をしていると、心がどんどん軽くなってきます。ポジティブ心理学のマーティン・セリグマン教授は、夜寝る前に、その日あった良いことを3つ書き出すことを1 週間続ける「threegood things」というエクササイズを薦めています。うつ状態の人にこのエクササイズをおこなったところ、エクササイズをしなかった人に比べて幸福度が6ヶ月間向上するという結果が得られたそうです。

強いトラウマやショックが大きい出来事があった時に、すぐにそのマイナス感情を消すのは難しいですが、一時的にでも負の感情から抜け出せると知っているだけでも、少し心が軽くなります。また、プラスの面を見なければいけないという囚われは、逆に苦しみを生み出します。どうしてもできない、やる気が起きないようなときに無理にする必要はありません。ただ大切なのは、気分が悪くなる仕組み(マインドの行き過ぎ)があって、自分の力で気分を変えることが可能だ、ということを理解することです。

いいことも、悪いことも自分の考え方次第で解釈を変えられる可能性があります。起きてしまった出来事を、後から変えることはできませんが、自分の考え方を変えることはできます。いつでも自分の心は、風のように自由に軽やかでいられるのです。