ポジティブのありか
昨年来立て続けに、仕事がらみで女性のデリケートゾーン向けの商品やVIO脱毛等の情報を目にしています。広告が増えて目にする機会が増えたのか、実際にはやっているのか、微妙なところなのですが、ずいぶん社会的な認知を得ているようです。
脱毛については、「衛生面を考えるとしたほうがいい!」という論調が多いようですね。その延長で、「介護されやすいように今のうちに処理しておく……」という発言も見ました。いつかくる老人生活にそなえてなにもしないより現実的なのかもしれないけど、「ぴんぴんころり」をめざして健康寿命をのばそうとするまえに、介護をめざして永久脱毛という発想がすごい……! それはポジティブなのか、ネガティブなのか。
一方、出産時の剃毛について、必要か/必要でないか? という議論がもうずっとあるんです。VIO脱毛の必要性を議論する際、女性の問題として本来直結するはずの出産時のことにリンクしないのはほんとうに不思議です。出産時の剃毛については、衛生面などを考慮したうえで、必須ではないという回答がいまは主流です(WHOの勧告もあり)。産院で剃毛される流れがなくなっている一方で、美容の観点や、衛生面などを理由に剃毛・脱毛に向かう流れが生まれているのが面白いなぁと思います。
もちろん、脱毛するほうがエチケットにかなうという国や文化もありますし(日本でいうと脇のムダ毛処理みたいなかんじでしょうか?)、これも国際化なんでしょうかね? あるいは誰かが新たな市場を作り出しているのかもしれませんが、今後も、いろんな判断でムダ毛とされるものを処理する流れが出てくるのかな、と思います。
皮膚にも菌活を
でも、いくつかの論点については、脱毛以外の解決法があると思います。たとえば、「おりものや月経血が付着するとムレるしにおうしかぶれるからなんとかしたい!」という場合、脱毛したり、専用洗浄剤やケア製品を使わなくても、病的症状がないのであれば、食生活を変えることで簡単に変化が生じます。白砂糖のとりすぎ、動物性過剰な食事、お酒ののみすぎなど、食生活が乱れると、目やにが増えるなどの経験がありませんか? おりものだって月経血だってそうです。食を見直すと美容目的にもかないますし、まずなにかを減らすほうが経済的です。月経血が問題なら、たれ流さずにコントロールするすべを身につければ一気に解決しますし、お金もかかりません。
また、洗濯用洗剤や生理用品を見直す必要も出てくるかもしれません。栄養分をどんどん足すよりまず断食、ものを断捨離して本当に必要か見直す、という考え方は広く定着してきているように思います。この考え方に立てば、デリケートゾーンに複雑なケアをしたり、pHが皮膚に近い専用洗浄剤を入れるより、そもそもどこまで洗浄剤で洗う必要があるのか、そのトラブルにはほかの原因がないのかを、見定める論点もあるわけです。
赤ちゃんの沐浴も同じ問題をもっています。ベビー用ソープのなかには成分がさほどやさしくないものが普通にあって、それよりは、沐浴剤だけどソフトに洗うこともできるもののほうが便利です。そもそも、実は赤ちゃんはそんなによごれません。洗いすぎて保湿成分などを足さざるを得ないのは赤ちゃんから始まっています。腸に関する「菌活」という言葉がありますが、皮膚の常在菌も菌活してあげたほうが、長い目でみて衛生的で美しいのではないでしょうか。