私たちの身体も酸化するとか錆びるとか聞きますが、それはどういうことでしょうか。抗酸化という言葉もよく耳にしますが、どうすれば抗酸化できるのか知りたいです。(京都市・老化に抗いたい40代)
A.生活環境を整え、野菜や果物で酸化に抗って
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
最近「抗酸化」という言葉をよく耳にするようになりました。抗酸化とは字のとおり「酸化に抗う」ということです。酸化というと釘が錆びたり、皮を剥いたリンゴを置いておくと茶色くなってしまったりするのが広く知られていますが、実は人間の体内でも同じことが起こります。さらに近年の研究で、酸化の原因は活性酸素が多すぎることであり、酸化が進むことで細胞が劣化し、老化を促進したり身体の調子を悪くしたりするということがわかってきました。そこで重要視されているのが「抗酸化」です。では、このように人間の身体を錆びさせてしまう活性酸素とはどういうものでしょうか。
活性酸素は私たちにとってなくてはならないもので、身体に細菌やウィルスが入ったときや異常な細胞がある場合にそれらを攻撃するものに変化して健康を保ってくれています。そのため、身体のメカニズムとして呼吸により酸素を摂り入れたときに1~3%くらいの割合で活性酸素を発生させています。それが適量に保たれていればいいのですが、老化とともに活性酸素量をコントロールできなくなったり、生活習慣や食生活、社会環境などいろんな要因から活性酸素が必要以上に発生しやすい状態(体質)になってきたりしています。したがって少しでも酸化が進みにくくなるよう、意識的に活性酸素の量を抑える必要があります。
睡眠不足や疲労、過度なスポーツ、脂質や糖質の摂りすぎ、薬、農薬、食品添加物など化学的につくられたものは活性酸素を増やす原因になるので気をつけるべきです。植物性の油でも酸化しやすい油(ヘキサン抽出法でつくられたものなど)を摂ると活性酸素が増えやすいため、低温圧搾の方法でつくられたものを摂りましょう。
そして「抗酸化物質」を摂るようにすることが大切です。抗酸化物質を多く含む食材は、伝統的、習慣的に食べられてきたものですから難しいことはありません。特に赤色や黄色の色素の植物には抗酸化物質がたくさん含まれているので、積極的に摂るようにしましょう。トマトに含まれるリコピン、かぼちゃやニンジンなどに含まれるカロチノイドなどがそれにあたります。えびやカニ、海藻類に含まれるアスタキサンチンも抗酸化物質です。植物が持っているフィトケミカル、ポリフェノールという成分が活性酸素を抑制する効果があり、ぶどうをはじめ、ブルーベリー、紫蘇、茄子、カシスなどにはすぐれた抗酸化力をもつアントシアニンというポリフェノールが含まれています。また、抗酸化力の強いポリフェノールとしてレスベラトロールが注目され、赤ワインに多く含まれることから一時期、赤ワインブームになりました。
ほかにもお茶に入っているカテキンや、紅茶やウーロン茶に含まれるタンニン、そばに含まれるルチン、玄米に含まれるフェルラ酸もポリフェノールですから、玄米食にするだけでも抗酸化できますね。さらに大豆のイソフラボンや、ウコンに含まれるクルクミン、生姜、カカオ、コーヒーにも抗酸化物質が含まれています。ただしカカオで抗酸化しようとしてチョコレートで糖質を摂ってしまうと相殺されるので気をつけましょう。
このように抗酸化物質が多く含まれる色とりどりの野菜や果物を積極的に摂って、生活習慣を整え、適度な運動を心がけていれば、酸化に抗うことができるでしょう。