らくなちゅらる通信をご愛読いただき、誠にありがとうございます。2007年の創刊以来、本誌は「らくに、自然体で生きること」「本来の健やかさを取り戻すこと」「だれもが納得できる知恵を分かち合うこと」を編集の柱としてまいりました。
昨今、社会にはかつてないほど多くの情報が流通し、私たちは日々、無数の言説や主張にさらされています。とりわけ健康や環境、社会構造に関する情報は、ネットを通じて一瞬で拡散され、真偽を見極めるのが困難な時代となっています。そのなかで、私たちはあらためて「なぜこの媒体を発行しているのか」「なにを信じ、なにを伝えるべきなのか」を問い直す必要があると感じています。
らくなちゅらる通信が目指しているのは、読者の皆さまが健やかに、自然体で、幸せに生きるためのヒントをお届けすることです。そのために、私たちは特定の思想や宗教、政治的な立場を持つことなく、だれにとっても開かれた誌面をつくることを信条としています。
私たちは、科学的な裏付けのある情報と、実際の生活から生まれる経験的な知恵の両方を尊重しています。どちらかに偏ることなく、どちらかを否定することもなく、あくまでも「読者の選択の助けになること」を目的に、誌面を構成してまいりました。
また私は、創業以来一貫して「恐怖を煽ることで商品を売る」という、健康業界でしばしば見られる手法とは一線を画してきました。人の不安につけこみ、心の自由を奪ってまで購買行動を促すような方法は、弊社の理念に反すると考えています。本当に価値あるものは、だれかの不安ではなく、その人の納得や希望、気づきのなかから選ばれるべきだと信じています。
健康にまつわる情報には、常に正反対の主張が存在しています。たとえば、自然な方法で海水から作られる塩は健康に有益であるという立場がある一方で、海水に含まれるにがり成分は有害だとする意見もあります。また、血圧を下げるには減塩が必須だという栄養指導が常識とされる一方で、自然塩を適量とることで全身のバランスが整い、結果的に血圧も安定するという考え方もあります。
このように、健康に関する話題には常に極端な異論が存在し、それぞれが声高に「これが危険」「あれは有害」と主張する情報が混在しています。なかには、その恐怖を利用して商品販売を促すマーケティングも存在します。私たちは、そのような「脅し」に近いやり方を好まず、採用しません。
近年では、ごく一部ですが、健康に関する情報のなかに、十分な根拠がないまま断定的に語られる主張が見られるようになってきました。それらの内容は、一見すると説得力があるように見えても、冷静に検証してみると事実関係が曖昧、または、出典が確認できないケースも少なくありません。こうした情報の多くは、強い言葉で不安を煽ることによって人々の判断を揺さぶる性質を持っており、結果として読者の思考の自由を奪いかねないと私たちは懸念しています。
私たちは、そうした内容を本誌に掲載することは適切でないと考えます。なぜなら、それは読者の冷静な判断力を奪いかねず、また弊社に寄せられてきた信頼を損ねるおそれがあるからです。本誌はあくまで「考えるための素材」を提供する場であり、「信じるべき真実」を押し付ける媒体ではありません。
私たちが大切にしてきたのは、あくまで実直な営みのなかで生まれる感覚、体験、実践です。
読者の皆さまが、ご自身の暮らしや日々の体調、家族や大切な人との関係を通して実感する小さな気づきや違和感を、私たちはとても大切にしたいと思っています。たとえそれが専門家の語る理論や、世の中の「常識」と異なるものであっても、その人の経験に根ざした実感には、真理に通じるなにかがあると私たちは考えます。
一方で、情報化社会の進展とともに、そうした個人の実感や経験が、断定的で声の大きい情報にかき消されてしまう場面も増えています。本誌では、そうした状況に抗うように、暮らしのなかで丁寧に育まれた感性や身体の声に耳を傾け、それを尊重する姿勢を貫いていきます。
私たちは、すべての読者の方にとって「安心して読める」ことを第一に考え、安心して読み続けられる誌面とは、決して不安や敵意を煽るものではなく、読むだけで心と体が少しやわらかくなるような、そんな空気をまとったものでありたいと願っています。
「らくに、自然体で生きること」をコンセプトとする本誌においては、教条的に唯一の正解や絶対的な真実を主張するような記事はふさわしくないと考えています。本誌は、相手の考え方を否定し一方的な主張で論破を試みるような場ではありません。私たちが大切にしているのは、対立ではなく、和やかに、肩の力を抜いて生きることを選べる感性です。まさにそれが、「『らく』で、『なちゅらる』な生き方」だと信じています。特定のだれかの意見を絶対視するのではなく、読者一人ひとりが自身の感性を信じ、自分なりの選択ができるようになること。そのお手伝いが、私たちの果たすべき役割です。
これからも本誌では、多様な意見を紹介しつつも、「真実らしく見えるなにか」に過剰に傾くことなく、バランスある視点を持ち続けます。そして、読者の皆さまとともに「健やかでまっすぐな道」を歩んでいけるよう、誠実な誌面づくりに努めてまいります。
今後とも、らくなちゅらる通信をどうぞよろしくお願いいたします。