皆さんは、ご自身の心が満たされていると感じていますか?
「十分に満たされている」と胸を張れる人はそれほど多くないかもしれません。ではちょっとした実験をしてみましょう。心のなかにコップがあると想像して、今どのくらい満たされているかを感じてみてください。ざっくり0%、25%、50%、75%くらいの目盛りで、感覚的で構いません。どうでしょう? この満たされ感はすぐに変化するので、今だいたいどの程度かがわかればオッケーです。
心を満たす方法は、これまでお伝えしてきた「魔法の言葉」、つまり自分に向ける愛の言葉(自愛の言葉)です。僕が特に効果を感じているのは「ダメな私のままでもいいよ」「人に迷惑をかけてもいいよ」「よくがんばっているね」「そう思うよね、わかるよ」といったフレーズ。繰り返し唱えることで効果を感じることができます。
さらにハワイの伝統的な祈り「ホ・オポノポノ」もおすすめです。シンプルに「ありがとう、ごめんなさい、許してください、愛しています」と唱えるだけで心が癒されます。しかし、自愛の言葉に抵抗を感じる人も少なくありません。それは、自分の心に意識を向けることに慣れていないからです。心の奥にいるインナーチャイルド(傷ついた心)が拗ねていて「どうせまた無理をするんでしょ」「また私を無視するんでしょ」と聞く耳を持ってくれない場合があります。そんなときは「今まで無理させてきたね、ごめんね」「これまでつらかったね、気づかなくてごめんね、許してね」と繰り返してみましょう。最初は反応してくれなかったり、抵抗されたりしますが、やがて少しずつ心を開いてくれるようになります。
赤ちゃんに語りかけるような優しい言葉も効果的です。「生まれてきてくれてありがとう」「あなたの存在が私の喜びだよ」「あなたを誇りに思うよ」。こうした言葉を自分自身に向けると、胸の奥が温かくなっていきます。
大切なのは、この練習を続けること。繰り返し言葉をかけることで、心のコップに少しずつ水が溜まっていくのを感じられるはずです。そして自分の言葉で自分を満たせるんだ、と実感できたとき、本当の自信につながります。愛で満たされ、やがてあふれ出す感覚をぜひ味わってください。
心を満たす、その先の気づき
この練習を続けていて気づいたことをシェアします。すべての人に当てはまるかわかりませんが、特に敏感さを持った人には伝わると思います。それは「心そのものは鍛えられない」という事実です。鍛えられるのは体や知識、経験です。辛いことがあっても、経験を積めば耐性はつきます。でも、心はいつも繊細で、ちょっとしたことで揺れ動きます。まるで生まれたてのヒヨコのように、ひよひよと弱いのです。嫌なことを思い出すだけで落ち込んだり、クヨクヨしたり。心は秒単位で変化し続けています。
SMAPの名曲『夜空ノムコウ』で、作詞のスガシカオさんが「心のやわらかい場所を今でもまだしめつける♪」と表現したように、心は本当にやわらかく、傷つきやすい存在です。心を満たす言葉をかけても、ちょっとした出来事で水位が下がってしまいます。ではどうするのかというと、心を満たす言葉を繰り返し唱えて、減ってしまった満たされ感を力技で満たすのです。芸のない方法で申し訳ありません。普段私たちは自分にムチ打ってがんばりすぎているので、自分を甘やかすくらいでちょうどいいのです。
心が100%満たされると、体に本当のリラックスが訪れます。「まあ、人生なんとかなるよね」と、軽やかな自信が湧いてきます。自分を責める代わりに、自分を満たすこと。人生で本当に欲しかったのはこれだけだったんだと気づくことができます。
