バナナが曲がっている理由を聞かれることは多いですが、キュウリやゴーヤ、ダイコンやニンジンにも曲がったものがあります。まず押さえておきたいこととして、私たちのように伸縮自在な筋肉を持たない植物が体を曲げる基本的な方法は「曲がる部分の内外で成長速度を変えている」ことです。子どもたちにはいつも「背が伸びる時に右足だけが伸びたらどうなりますか」と説明しています。では「曲がる」理由も同じなのでしょうか。
この仕組みを積極的に利用している植物があります。若いヒマワリは朝には東を向き、昼間は太陽を追って西へ向きを変え、夜になると再び東へ戻ります。茎の東側と西側を時間によって違う速さで伸ばすことで、太陽を追いかけています。風で倒されたサトウキビは、光や重力などを手掛かりにその後の成長方向を太陽の方向に修正していきます。バナナの果実が上向きにカーブする現象も同様で、最初は下向きに垂れ下がっている果実は重力などに応答して成長につれて上を向き、あの特徴的なカーブを描きます。
一方、曲がること自体が目的ではなかったのに、結果として曲がってしまう植物もあります。その代表がキュウリです。光合成が十分でないなどの生育条件によって内側と表皮側の成長速度に違いが生じると、曲がった状態で成長します。そして、さらに違う理由で曲がるのがダイコンやニンジンです。こちらは土の中を伸びていく途中で石や硬い土などにぶつかれば、そのまま直進することができません。障害物を避けながら成長を続けた結果、周囲の物理的な環境が刻み込まれて曲がった根になります。
同じように「曲がっている」バナナ、キュウリ、ダイコンでも、その曲線ができた理由はずいぶん違います。共通点は、光や重力、養分や水、障害物の存在など、周囲の環境を感知し、適応して成長した結果が、私たちが目にしている植物の形だということ。そう考えると、曲がったキュウリも単なる「形の悪い野菜」ではなく個性のある履歴書で、太陽に向かってグインと曲がっているバナナに私は生命力と愛おしさを感じます。
太陽に向かって反り上がるバナナ
太陽に向かって反り上がるバナナ
