今回も前回に引き続き「足」についてお話ししたいと思います。前々回、構造として足には三つのアーチが必要なことをお話ししました。具体的には左の図のようにそれぞれのアーチがしっかりあることで人は安定した動きや身体のバランスをとることができます。長崎に有名な眼鏡橋という橋がありますが、この橋は眼鏡状にアーチがあることで、上からの圧力の分散をしています。そしてその真ん中には要石と言われる石があります。足の骨の中にも丁度この要石と同じ役目をする要の骨(舟状骨)があり、足のアーチにより力の分散を担っています。
自分で足のアーチを保つ方法としては昔からある青竹踏みなどがあります。また、特殊なサポート力の五本指のソックスを履いて過ごしたり、前回にもお伝えしましたが、入浴後など身体が温まって動かしやすい時に、足の指の間に手の指を五本挟んで動かしストレッチすることなどがあります。 アーチを壊さないためには靴選びの前に自分の足の本当のサイズを知ることも大切です。正確に足のサイズを計ったら左右で違う場合もあります。靴紐は面倒くさがらずにその都度しっかりと結んだり、お子さんの履き物でマジックテープで止めるタイプだったら一本ではなく二本でしっかりと止めるタイプを選ぶことも大切です。靴の中で足が滑っていてはいけません。足以外では骨盤の状態、歯のかみ合わせの状態、内臓の状態、食生活の状態……などが関係します。
実は歯にも3つのアーチがあります。歯列弓という水平面状のアーチ(歯並び)や咬む平面のアーチ(鉛直面状)、また篩骨鶏冠部を中心に円状のアーチ(前頭面状)があります。この3軸で構成され、この3軸のアーチの中心が頭蓋の中心に位置すると理想的になります。姿勢が悪く歯の並びが悪く、歯が前後してしまうと顎は動きにくくなります。顎が動かなくなると身体のバランスをコントロールできなくなります。歯が綺麗に並ぶためには姿勢を良くし筋肉を動かせる環境をつくることが大切です。すでに並びが悪くなってしまった場合には歯の矯正や整体治療が必要です。
いずれにしても力のかかる部分にはうまく力を干渉するために身体の各所にはアーチがあるのです。 歯のアーチを再構成し脳頭蓋を左右均等に収縮させることができれば、脳は快適で脳梗塞などの予防にもつながります。また、足の重心バランスや脚の長さにも関係があるのです。動物は歯がなくなると死んでしまうのですが、人間も動物の中に位置していることを忘れてはなりません。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |