前回は、頭で「~しないといけない」「~するべきだ」と考えていることと、本心が「本当は~したい」と思っていることにギャップがあるので苦しさを感じるというお話でした。「~しないといけない」というプログラムを作るきっかけになったのは、お母さんが笑顔ではなかったこと、不機嫌だったこと、悲しんでいたこと、こっちを向いてくれなかったことです。そこから抜け出すには、まず自分が母親の価値観に大きく左右されていることに気づく必要があります。例えば、こんなに部屋が片付いていないとお母さんになにか言われると感じてしまう。こんな子育てをしていたらお母さんに注意されるかもしれない。きちんとまじめにしないとお母さんが悲しい顔をするような気がする。こんな風に母親の気持ちを推し量って、自分のイメージの中の母親に気に入られるような行動を優先していることに気付きましょう。あくまでもそれはイメージの中の母親であって、本当の母親の考えではありません。いつでも手放してもよいはずです。頭の中で母親のイメージを繰り返すのをやめて、本当の自分の心を優先しましょう。
本当の自分を取り戻すには、子どもの頃の本来のイキイキとした気分を取り戻すのが良い方法です。実際にイキイキしている子どもを見ていると、欲しいものがあったらさっと手を出す。行きたいところがあったら、時間も危険も関係なく行ってみる。会いたい人のところに遠慮なく行って会ってみる。嫌いなものからは逃げる。必要ないものは捨てる。会いたくない人には会わない。とても自分に正直です。しかし、ほとんどの人が、子どもの頃にこういう行動をしようとすると、親や周囲の大人から「危ないからダメ」「汚れるからダメ」「好き嫌いをしてはいけません」「ものは大切にしなさい」と怖い顔で注意を受けています。そして大人の機嫌が悪くなるのをおそれて、本当の自分の気持ちを閉ざし、やりたい気持ちを我慢することを覚えます。子どもの頃は母親が世の中のすべて(だと思っている)なので、母親から見放されるのは生命の危機です。でも大人になった現在は、母親の言うことを聞かなくても自分で生きていけます。自分の本当の気持ちを取り戻す勇気を出しましょう。自分が持ち続けてきたプログラムを書き換えましょう。「みんなに認められないといけない⇒自分が納得すればOK」「みんなに嫌われてはいけない⇒別に嫌われてもいいし」「みんなを喜ばせないといけない⇒自分が楽しければ良い」「空気を読まないといけない⇒やりたいようにやってもいい」「ちゃんとしないといけない⇒ふざけてもいい」「いい人でないといけない⇒自分の気分で行動してもいい」「頑張らないといけない⇒やりたくないことはやらなくてもいい」
そんなこと無理!! だと言うのはイメージの中の母親の声です。自分の中にいるイキイキとした子どもの声をじっくりと聞いてあげてください。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |