子宮のように包み込む?
緑も元気な気候になってから、生まれて日のたたない赤ちゃんが散歩に出ている姿をたびたび見かけます。安定性の高いA型乳母車に乗っている子もいれば、スリングにぎゅっと包まれている子も。赤ちゃん用のギアはわたしが見てきたあいだにもどんどん進化して、第一子のときには珍しかったスリングは当たり前のものに。抱っこ紐は、赤ちゃんが腰をまっすぐ伸ばして装着されるタイプから、赤ちゃんが足を開いて座る人間工学に基づいたタイプが主流になりました。今では人間工学タイプについても赤ちゃんへの負担が指摘されています(後述します)。
こう書くと、なにを選べばいいのか困ってしまうと思うのですが、あ~大雑把すぎたな~と反省する機会があってもなんとかなるものなのは人類の歴史が証明しています。とくに赤ちゃんに関しては「足が伸びるかたちで布を巻いて育てる」よう古代ギリシャ・ローマ時代からの習慣まであるんです。多くの人類がそれで育ってきて、いまでも育っているので、股関節等に問題が起きるとすると、原因はきっとそれだけではありません。ただそのギアを過信せず、親子の双方が気に入るものをシーンに合わせて選べばいいと思います。
ベビーキャリアもいろいろあって
わたし自身は7種類試しました。⑴平たいシート状に変形するマルチユースな抱っこ・おんぶ紐、⑵おんぶが楽な対面抱っこ紐(ベビーキャリア)、⑶赤ちゃんの腰がまっすぐに入る前向き&対面抱っこ紐、⑷新生児から使える対面抱っこ専用紐、⑸リングスリング、⑹スリング、⑺巻きスリング。
結論としては、マルチユースなものは、どの用途にも中途半端でおすすめしません。できれば3種類もつのが理想だと思っています。立ってゆすって寝かしつける機会の多い小さいときは、片方の肩だけで抱く、⑸リングスリングが楽でした。素早く装着でき寝入ったら簡単にはずせる(置いた途端に起きるのはなぜ、というのは別の話です)。この時期に特化したものを一本もっておくと、腱鞘炎や腰痛のリスクを減らせます。
この時期用に、⑵ベビーキャリアに新生児用のパッドを入れる方向性もあるのですが、個人的にはおすすめしません。人間工学抱っこ紐の難点とされる点の多くは、結局は既製品が、その子のからだに合わないところからきています。赤ちゃんが抱っこ紐のなかでのけぞり口があいてしまう。首がぐらんと傾いてしまう。口は閉じたほうがいいですし、首はやはり傾かないほうがいいです。B型ベビーカーに乗るくらい大きくなってからでも、からだが柔らかいから首が傾くのではなく、支える筋力がない可能性が高いです。
あと2種類のおすすめは、おんぶが楽な抱っこ紐と、⑺巻きスリングです。とくに第二子以降の出産で、上の子の世話をする必要がある人にはフリーハンドで家事ができる巻きスリングがいい。新生児の散歩にも安心です。
ところでわたしは下の子を巻きスリングに入れすぎて、1か月検診のときに股関節のかたさを指摘されました。ぎゅっと布を巻いて育てたのと同じ状態だったんでしょうか。その後、トイレの機会のたびに足を回してほぐし、元気に問題なく大きくなりました。
考えてみると、そもそもおむつはよろいのように、子どもの動きをさまたげます。赤ちゃんの運動にもいい季節ですから、足を自由に動かせるよう、たまにはおむつも外してあげてくださいね。関節も筋肉も喜ぶと思います。