あれから2年
この4月で、改正育児・介護休業法が(段階的に)施行されてから2年です。その後、パパの産休といわれる産後パパ育休制度ができ、育休全体として、取りやすいよう変わってから1年半。さらに今月は、従業員千人超の企業が男性の育休取得率を公表することが義務化されてから1年になります。
段階的に手数が増えていくので、ワンオペなんて言葉がなくなるくらい、世の中が変わっていってほしいなぁ、と、気にしていました。
確かに、増えてはいるのです。2023年度の厚労省による男性の育休の取得状況の調査では、速報段階で、公表義務のある企業の育休取得率が反映されました。46・2%。2022年度の雇用均等基本調査では、男性の育休取得率が17・13%で何年か前より10倍に増えた!などといわれて、この程度でか?と思った数字より快挙です。
ただ、じゅうぶんに増えているかというと、よくわかりません。厚労省の調査への千人超企業の回答率が、33・4%だったからです。回答率として一般に高いのか低いのかわかりませんが、それくらいの数字なら、もともと意欲の高い企業の割合が高そう。それでも半分に満たない場合、どうなんでしょう。これは、快挙なの?
あと、大切なのは、取得率より取得日数ですよね。本当に助け合うにはまとまった日数、そばにいることが必要だと思うので。取得日数の平均は46・5日でした。なかなか前向きな気がする……と思っていたら、「男性の育休等取得率が高いほど、平均取得日数が短くなる傾向が見られる」そうです。まあ、3か月取得した人と、3日間取得した人の平均日数、ちょうどそれくらいですものね。数字だけじゃわからないですよね。
より育休を取りやすくなるよう、男女とも育休を取れば給付金が実質手取り10割になる、という方針も検討されているそう。いつからそうなるのかわからないままその間に子どもが産めてしまう一年強が経ってしまいました。さっさと決まらないと、該当する働き方をしている人が、かえって迷いそうですよね!
若い人ほど差がない
育休取得率が華々しく伸びないのは、先行世代がポジティブな発信をできなかったせいもあるのかも、と責任を感じています。妊娠はすごく面白いです。子育ても、あり得なかったレベルで自分を超える、これ以上ない学びの経験です。なによりかわいい。これは、子どもが嫌いだった私のような人間には、子どもを持ってみないとわからない感情でした。一度知ってしまうと、赤ちゃんや子どもが少ない世界は、幸福の減った世界に思えます。
実際、ワンオペで無理をした経験は私もかなりあるのですけど、世の中がジェンダー格差に敏感になっていくにつれ、少しずつ改善され、肩の荷を下ろせるようになりました。制度の応援も、男性の意識も高まったぶん、今のほうがタッグも組みやすいと思います。
この3月に大学を卒業した学生さんへの調査では、「育児休業を取って子育てしたい」割合に、もはや性差はなく、現時点で一番高い男性育休取得率46・2%より、ずいぶん高い数字の人が、育児休業をとって子育てすることを望んでいます。「育休は権利」です。妊娠中のあなたとそのパートナーが産後赤ちゃんを育てていくにあたり、今、疑問に思うことを先延ばしにする必要はないです。遠からず、潮目が変わるはず。望みの形に整えていくのが、この先に伸びる道ですよ。