健康のために食生活を改善しようと思っています。
意識高い系の人がよく玄米を食べていますが、玄米に変えるのが良いのでしょうか?
白米にはない玄米の良さが知りたいです。(お腹の調子が悪くなりやすい30代の会社員)
A.玄米だけでも生きていけるほど栄養豊富
答える人 岸江 治次
玄米と白米の大きな違いはなんでしょうか。
玄米は水に浸けておくと芽が出ます。
つまり「生きている」ということです。
白米は精米して皮を取り除いてしまっている状態なので、芽は出ません。
これが決定的な違いのひとつです。
ただ、高温乾燥といって、ボイラーの強い熱で乾燥させた場合、芽の部分が壊れてしまって発芽しない玄米も存在します。
田んぼでの天日乾燥や、低温乾燥されていれば、基本的に玄米は発芽します。
栄養学的に見ても、玄米はとても優れています。
どんな栄養学者に聞いても「玄米は栄養がある」と答えるでしょう。
完全栄養食とも言われており、生きていくために必要なビタミンやミネラルなどが豊富です。
「玄」という字は「玄関」など大事なものや優れているものを表すときにを使われますが、昔から神棚にお供えをするのは、水・塩・玄米でした。
この三つさえあれば人間は生きていけるほど、栄養が豊富ということです。
玄米を日常的に摂取しているだけで、少なくとも生命活動をするエネルギーや栄養素を得ることができます。
では、なぜ栄養学者たちは玄米を食べることを推奨しないのでしょうか。
大きな要因のひとつは「消化がよくない」ということです。
玄米は白米と違って硬い表皮や胚芽がついています。
そのため炊くときに中に熱が通りにくいので、きちんと火が通るような炊き方をしないと硬いのです。
そこで活躍したのが鉄鍋、土鍋に加えて、「圧力鍋」です。
圧力で表皮を裂いたことで火の通りが良くなり、食べやすくなりました。
最近は通常の炊飯器でも科学の進歩で熱効率の良いものができており、白米と同じように柔らかく炊き上げることができます。
自分に合った炊き方で、玄米が食べやすい時代になってきたともいえますが、やはり表皮には食物繊維が含まれているため硬いことには変わりません。
とはいえ、この食物繊維のおかげで腸の調子が良くなるわけで、白米にはそういった効能は期待できません。
胃への負担が心配な方は、とにかくしっかり噛んでください。
最低でも30回、不安な方はさらに回数を増やしましょう。
200回ほど噛めば胃に自信のない方も玄米の栄養を吸収することができるでしょう。
玄米をおいしく炊き、よく噛んで食べるだけで、体調が優れない方も改善することができます。
そんな栄養豊富で素晴らしいスーパーフードが玄米なのです。
よく噛むので少量でも満足できます。
それでも白米と比べて心配をする声があります。
例えば農薬。
白米は表皮を取り除いているので、栽培中に農薬が撒かれていても残留農薬が少ないと考えている方がいます。
人間には自然治癒力が備わっており、少々毒を持っても外へ出すことができます。
玄米は食物繊維が豊富ですので、摂取するとその食物繊維の力で排毒効果を高めることができます。
一方、白米にはその力はありません。
仮に、精米することで農薬が約9割取り除かれた白米と、食物繊維の力で約10割を排毒することができる栄養豊富な玄米とでは、どちらが体に残る農薬の量が少ないでしょうか。
どちらのほうが体によいでしょうか。
農薬に限らずいろいろなものが体内に入らざるを得ない現代。
入ることを気にするよりも、排毒する力を身につけることが大切です。
そのためにも、玄米を食べることには意味があるのです。
玄米に慣れていない方には、「早取り玄米」がおすすめです。
お米の表皮は成長するにしたがって、薄くなりながら硬くなっていきます。
少し早い段階で刈り取った玄米は表皮が分厚い代わりに白米のように柔らかいので、そういったものから玄米に慣れていくのもひとつの方法ではないでしょうか。
素晴らしい栄養のある玄米ですが、その玄米だけを食べるような社会になると産業的に困る人もいるため、経済社会のなかでは爆発的に広まることはないでしょう。
それでも、これほど素晴らしい食物はありません。
体調の悪い方はもちろん健康な方でも日常的に食べることをおすすめします。
病状などにより、どうしても農薬が気になるという方は、自然栽培や有機栽培、無農薬の玄米を選んで食べるといいでしょう。