株式会社ホワイトマックスが、作業服などを扱う販売会社から、マスクや白衣といった食品向け安全製品に特化したメーカーとして独立したのは今から27年前のことでした。今回は、創業者である現会長、増本勝久氏を父に持つホワイトマックス増本剛社長に、EM応用製品であるエンバランスシリーズの開発にいたったストーリーをご紹介いただきます。 |
当時は外食産業がじわじわと成長し始めた時代でしたが、持ち帰りのお弁当や惣菜などを製造する中食産業もまもなく必ず伸びるだろうと考えていたのが、私の父である増本勝久(現会長)でした。父は、弁当を大量生産する食品工場で使われることになる「手袋」で日本一を目指すぞと、意気込んで事業をスタートしました。
時代の流れにのって会社は確実に実績を伸ばし、10数年がたった頃のこと。環境問題がまもなく大きな社会的テーマになるだろうと語る方々が現れ始め、たまたまそういった人々と話す機会があった父は、「君はゴミばかり作っている」と叱責を受けたのです。私たちの事業の成長は時代の流れに沿ったものでしたが、何らかの形で環境に配慮した製品も創出する必要性を考えさせられた瞬間でした。
私たちは食品というアプローチから、鮮度保持の研究を始めました、鮮度保持効果があるポリ袋や容器ならば大事に使われるし、ゴミが減る。当然ながら食品が長持ちするので無駄な生ゴミも減るだろうという狙いです。
とはいえ、ユニークさで勝負しないと大手プラスチックメーカーには太刀打ちできません。試行錯誤していたところ、偶然出会ったのがEM菌でした。高温・高熱・高圧の環境下で微生物が生きられないことは承知でしたが、とりあえずEM菌をプラスチックに練り込んでみたところ、出来上がったプラスチックには高い鮮度保持機能があることが分かったのです。
生きた微生物の働きが原因でないのならば、菌を除去した清涼飲料水として製品化されているEM・Xでもいいのではないか。外注会社からは、そんなものを混ぜ込んで機械が錆びたらどうしてくれると言われましたが、絶対にいけるはずだという信念で私たちは実験を断行したのです。
製造工程中に添加した液体は、200度を超える高温で完全に蒸発。ミネラルやアミノ酸も残留検査で検出されない。それでもEM・Xは間違いなく、鮮度保持効果のあるプラスチックに改質してしまった。所詮、極微量のミネラルが混ざっただけの清涼飲料水ですから、正直なところ効果などあるはずがないと思っていましたが、結果が出たからには認めるしかありませんでした。
以上がエンバランス誕生の経緯です。今の社会を維持するシステムに組み入れられて成長したのが従来の事業であるがゆえに、それに対処するものとして、この対極の商品が生まれたのです。
まずはお得意先である各食品メーカーに、「中の食品がなくなっても鮮度保持袋として使える素材です」という切り口で提案に行きましたが、包装材料はゴミなんだからお金はかけられない、と取り合ってはもらえません。どうやら一般消費者のほうが理解が得られそうだということに気づいた私たちは、軸足を変え、家庭で使えるジッパーつき袋や、タッパー、水筒など、試作を重ねながら徐々に製品化して、現在のラインナップにいたります。
さらにその間、EM菌の開発者である琉球大学農学部の比嘉教授からも高い評価を得、講演会や書籍の中などでご紹介いただいたおかげもあり、エンバランスはEM利用プラスチック製品として世に広まるようになりました。
しかしながら、使い捨てでないプラスチック製品の製造者というのは奇抜な存在です。随分長持ちするため、頻繁なリピートのご購入が期待できないからです。では事業としてどう成り立たせるかとなると、ご愛用の皆様のネットワークと口コミ力に支えられながら、できる限り多くの方々に使ってもらうしかないのです。
単に「飽きたから」ではなく、本当の意味で廃棄するタイミングまでは、大切に使ってもらいたい。その目的のために、私たちはこれからも日々奮闘を続けていきます。
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mip&mip(ミップミップ) 手に取るだけで豊かな気持ちになってほしいという思いを込めて、お客様の声にもしっかりと耳を傾けながら、形やカラー展開、ネーミングにもとことんこだわって昨年夏にリニューアルされた、エンバランスの鮮度保持容器シリーズ。 |
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当時は環境問題への対応に精一杯で、健康分野など念頭になかったそうですが、EMの可能性に関しては消費者のほうがより詳しく、エンバランスには高い健康効果があるという評価の声が集まり始めました。半信半疑ながらも着手すると、高い遠赤効果ほか様々な結果が確認され、今となっては衣料が一番人気。女性用の腹巻きなど需要がないだろうと思いながらも販売を開始してみると、飛ぶように売れて驚かされたこともあるとか。 |