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ながれるようにととのえる

身体の内なる声を味方につけて、生きる力をととのえる内科医、鍼灸をおこなう漢方医のお話

やくも診療所 院長・医師

石井恵美 (いしいえみ)

眼科医を経て内科医、鍼灸をおこなう漢方専門医。漢方や鍼灸、生活の工夫や養生で、生来持っている生きる力をととのえ、身体との内なる対話から心地よさを感じられる診療と診療所を都会のオアシスにすることを目指す。
やくも診療所/東京都港区南麻布4-13-7 4階

自分にやさしさをむける

投稿日:

首が回らなくなって困っている80代の女性が診察にやってきた。彼女は首が良くなる方法を模索して、整形外科、歯科、皮膚科などを一年近く受診してきたらしい。整形外科医からは「首の痛みは長生きしたご褒美。きっと、首が自然にいい位置に安定するから」と言われたそうだ。たしかに加齢やストレスも原因になることはあるが、彼女は、この説明では納得できなかったようだ。良くなるためにあきらめずに模索している姿勢に対して、まず、すごいと思った。多くの方は、こうした説明を受けると、もうそれ以上、模索する気力さえも失ってしまうのではないだろうか。彼女の首や肩の異常なほどの凝りが、身体の辛い状況を教えてくれている。経絡の流れで診ると、心臓、大腸、胆嚢経などの炎症が影響している可能性が高い。便通の異常。首や肩の刺すような痛み。そして、まるでそこに壁があるかのように動きが制限されている首。それは、身体の上方に炎症がおき、気血の滞りが強い状態になってしまっていることを伝えてくれていた。夜に一度服用する漢方薬を2週間分処方したところ、便通がよくなり、首が楽になったと自覚しておられた。炎症が一年以上持続した結果、症状は複雑で込み入った状態になっていたので、鍼灸治療も併用した。人間の生きる力のすごさは、必要な場所を丁寧に地道に整えれば、楽になるということ。症状が複雑化している場合は、その方に本来備わっているはずの治ろうとするチカラが、どのくらい残っているかが重要であるとつくづく感じる。仮に「痛みは生きるご褒美」だといえるとしよう。だとしたら、それを治そうとする「自分の内なるチカラ」を感じることこそが、生きる喜びとなるのではないだろうか。

怒りからも学びがある

診察していると、なかにはふてくされた態度の人もいる。目の前の相手が自分の思うようにならないことへの反発や抗議的な態度なのだろう。瞬間的に、その場の空気が硬いものに変わる気がする。しかし、相手に対して発したふてくされた気は、相手にはもちろん、結果として一番影響するのは、自分の身体であり、心であり、細胞や気血であると思うのだ。

怒りという感情は悪いもの、ダメなものと端的に捉えられがちだが、本当にそうだろうか。生きるうえでどうにも譲れないことへの怒りは、時としてだれもが持つものかもしれない。「ふてくされる」は行動で、「怒り」は感情と表現されることもあるが、私は、そもそも違うものである気がするのだ。どうにもならないことへの怒りの感情は、生きるうえで大切なものへの想いや魂の叫びのようなものの存在に、気づかせてくれるものかもしれない。怒りという感情は肝臓や胆嚢につながっていると、漢方ではいわれている。気血が流れにくくなり、肝臓や消化器の動きにも負担をかけて、はたらき具合を悪くしてしまうのである。たとえそれが自分のこころや魂を鼓舞するゆえの怒りであったとしても、相手への反発としてのふてくされた感情であっても、相手以上に、自分のからだやこころ、気や血、細胞に影響することがあるのを忘れないであげたいものだ。

「ネガティブな感情を持ってはダメだ」という意識は、時として自分を苦しめてしまうものだ。否定的な感情を持つ自分を否定するのではなく、「そうなっちゃうよね」と受け入れる。怒りの感情を持ったり、ふてくされてしまったりしたときには、自分にも相手にも、「肝臓さん胆嚢さん、どうもすみませんね。それでも必死ではたらいてくれてありがとう」という気持ちも持っていてあげたいと思う。春は肝臓・胆嚢の時期と漢方ではいわれている。肩の力を少し抜いて、ひとまず自分の肝臓胆嚢にやさしい気持ちを向けて、春を過ごしてみようと思う。

- ながれるようにととのえる - 2023年3月発刊 vol.186

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