【Vol.58】気軽に楽しむ、アリサンの ベジタリアンライフ

　東京から約一時間、埼玉県日高市の高麗本郷にあるアリサンオーガニックセンターには、カフェあり、オーガニックショップあり、ギャラリーやイベントスペースありと、「ベジタリアンライフを気楽に楽しんでもらいたい」というジョン・ベリス社長の想いがぎっしり詰まっています（カフェは火・水定休）。その一角にあるアリサンオーガニックカフェで、美しい自然に囲まれた高麗川の流れを楽しみながら、ジョン社長にお話をうかがいました。

ージョン社長はアメリカ人、奥様は台湾人だそうですね。ご夫妻が日本でベジタリアン食材を取り扱う事業を始めたきっかけは？
今から30年くらい前のことです。大学で動物学や獣医学を学んだ後、私は世界中を旅していました。地球環境のこと、食のこと、より良い生き方とはなにかということを考えさせられながら、アフリカからアジア各国を巡り、祖国に戻る途中に立ち寄った日本の美しさに魅了されました。そして、妻の故郷である台湾の阿里山に景色がとても似ていたこの土地で暮らすことに決めたんです。

最初の頃は、日本各地から集めてきた骨董品や民芸品をコンテナに詰め込んでアメリカに輸出していたのですが、ある友人から、「おいしいピーナッツバターが欲しい」と言われて、みんなの分をまとめて個人輸入しました。その後も友人たちのリクエストに応える形で海外のベジタリアン食材を輸入するようになったのが、アリサンの原型です。今ではインターネットも普及して、日本中どこにいても、質の良いオーガニックフードが手に入るようになりましたが、当時は決して簡単なことではなかったんです。ー日本でも菜食やオーガニックへの関心が高まってきましたが、この現象をジョン社長はどのようにご覧になっていますか？　農薬や食品添加物の危険性に対する理解や、様々な食事法や食養などへの関心が高まっているのはとてもうれしいことです。特に若い人たちの意識が高いようですが、それはファッションやブームといった一過性のものではないように思います。

一方で、昔のようにオーガニックの基本特性を理解している人たちばかりがお客様ではないので、例えばオーガニック食品に虫がついていたといって大騒ぎになるなど、裾野が広がったゆえの問題があるのも事実ですが、よりよい食生活を求める声が今後ますます高まっていくことは間違いないでしょうね。

ーこのセンターではいろんなイベントも開催されているそうですね。
料理教室やヨガレッスン、環境をテーマとしたトーク会など、少なくともひと月に一度は何らかのイベントをやっていきたいと思っています。

都心からのアクセスは決して良いとは言えない立地ですが、年に二回開気軽に楽しむ、アリサンのベジタリアンライフ催している大きなイベントには、毎回500人前後の参加者が各地から集まります。私たちのこういった取り組みは、環境教育的な要素もありますが、「みんながよりよく生きるためのきっかけを提供する場になれば」という想いがことさら大きいです。オーガニックはライフそのものであって、ライフスタイルではないですからね。

ージョン社長がこれから取り組んでいきたいことは？
この美しい高麗川のほとりに自らの手で建物を建てて、事業を始めて現在にいたりますが、はじめにお伝えしたように、自分や友人のためにやり始めたことの延長にすぎません。「日本にオーガニックフードが少ないこと」に勝機を見いだして計画的に組んできたことではなくて、その時々に私自身が楽しいと思えること、周りの人に喜んでもらえることをやってきた結果が今のアリサンの姿です。そしてそれは、これからも同じこと。時代の変化を見据えながらも、何か具体的な展望を描いたり、目標を掲げたりして突き進むのではなく、自分が好きだと思えること、幸せな気分になれることをやっていきたいと思っています。私が幸せでなくちゃ、ここで働くスタッフも幸せじゃないし、商品を使ってくださるお客様にも幸せな気分で毎日を過ごしてもらえませんからね。

それから、お客様がお探しのものを見つけてくることも大好きですよ。創業当時のようにいつでも柔軟に動けるという規模ではなくなりましたが、お客様からいろんなご要望が届くのは、今でもすごくうれしいことです。そもそも、誰かのリクエストに応えることからのスタートでしたから。例えば、友人と小さなパーティーを計画したとして、本場のニューヨークチーズケーキがあるといいね！なんてことになったら、やっぱり何とかしてサプライズを用意しようって思っちゃいますからね！


アリサンカフェにてジョン社長に取材中	アリサンカフェのベジタリアン料理

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20 年以上前から海外のオーガニック食品を日本に紹介し、自然と人に優しいオーガニック・ベジタリアンライフを提唱してきたアリサン。オーガニック食品の普及を通じて、オーガニック栽培に真摯に取り組む小規模農家をサポートし、人々の健康的な暮らしを支え、マザーアース（母なる大地）を守っています。
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