緊張により落ちる自然治癒力

人には自然治癒力が備わっています。
生きている限り、どの瞬間も常にその力が働いています。
それなのになぜ病気が生じたり、治りにくい病気があったりするのか？

その理由は、アドレナリンなどの緊張ホルモン（正確には神経伝達物質）の働きのためであると思っています。
アドレナリンは薬として、血圧上昇、止血、気管支喘息の発作止めなどに用いられますが、不安、頭痛、動悸、不眠などの副作用が出る可能性があります。
心や身体が緊張したとき、アドレナリンが働いています。
緊張が続くと、アドレナリンの作用で、血流が不足する部分ができます。
そのために温度が下がり、結果として免疫力が低下してしまいます。
問題なのは、思考をしていて、少しでも「イヤだな」と思った瞬間、微量のアドレナリンが出てしまうことです。
楽しいことだけを考えているときには、アドレナリンは出ません。
しかし、問題があると感じると、思考がグルグルと繰り返されます。
問題とは自分にとってイヤなことなので、思考する度に微量のアドレナリンが出ていることになります。

病気を治りやすくするためには、できるだけアドレナリンを出さないようにする工夫が必要になります。
その方法を毎月このコラムで紹介しているのですが、今回は、いい気分でいる工夫について書いてみたいと思います。
思考を止めるとアドレナリンも出なくなるのですが、人の脳にとって、考えることは、私たちが呼吸をすることと同じようなものです。
短時間は止めることができても、ずっと止め続けることはできません。
そのため、思考を止めるという方法ではなく、いい気分を感じ続けるという練習をしてみましょう。
いい気分でいるときは、アドレナリンがほとんど出ていないからです。

自分が「いい気分」になる方法知っていますか？

いい気分になるためにはまず、今が良い状態なのか、悪い状態なのかを知る必要があります。
良くも悪くもない状態をゼロとしたとき、それよりも上（良い）なのか下（悪い）なのか、これはだれでも感じることができると思います。
もし上ならその状態をなるべくキープするように意識しましょう。
もし下なら、どうすれば上がるかを考えます。
たとえば、ゆっくり温かいお茶やコーヒーを飲むと、ホッとすると思います。
この「ホッとする」もいい気分に違いありません。
天気が良ければ外の景色を見て、キレイだなーと感じるだけでも少し良い気分になります。

好きな芸能人の写真、好きな音楽、好きなドラマ、好きな雑誌、好きな香り、好きなデザート、お風呂でゆっくり温まること、どんな方法でもＯＫです。
身の回りに気分を上げられそうなものがない場合。
ただゆっくりと深呼吸を繰り返して緊張した体をゆるめましょう。
どれも簡単なことです。
ただ大切なのは、ちょっとだけ落ちた気分も放置しないで、自分が心地よいことを自分にしてあげることです。
自分の気分が「今」どういう状態か？ということに、敏感になって気づき続けること。
落ちたと感じたら、そのとき上がりそうなことを、とにかくやってみましょう。
それは自分を大切にするということです。
抑圧してきた感情に寄り添って、癒してあげることでもあります。
ぜひチャレンジしてみてください。

もし、いい気分になることをしても気分が上がらない場合。
また、気分を良くすることが苦痛に感じられるとき。
ちょっとスネた状態になっています。
そういうときは、その感情をしっかり感じてみましょう。
もしイライラしているなら、イライラする感情に同意して
「そうだよね。イライラするよね」
と言ってあげて、もっとイライラしてみるのです。
しばらくすると、必ずイライラは落ち着いてきます。
そうなってから気分を上げることをやってみましょう。