昨年は映画やお芝居、音楽などを幾度か鑑賞する機会に恵まれました。映像や音楽、物語は人が作り出したものですが、同じものを同じ空間で見ても、心動かされる箇所は人それぞれでしょう。人は生まれる前から、いろいろな経験を通して学びを得ています。ときには嫌な経験でトラウマをもつこともあるでしょう。それらは十人十色、千差万別で、人が良いと思うことと自分が良いということはまったく別なのかもしれません。
たとえば、初めて行くオフィスビルのトイレに入り、どの便器で用を足すか、温泉やフィットネスクラブ、銭湯でどのシャワーブースで身体を洗うかなど、おそらく空間の中でここにいると落ち着くという場所、つまり今の自分の状態にあった場所(雰囲気)を無意識に選んでいるのだと思います。
人間の細胞や臓器にはそれぞれに決まった波長(振動数)があり、弱っている箇所や具合の悪い所は、本来の振動数に共鳴させると状態が良くなり、回復が見られると波動医療※ではいわれています。音楽の音階や音色、美術の色彩、前述の場所選びなども、実は、今の自分を補正してくれるものを知らないうちに欲しているのでしょう。人は無意識の感覚で、今の自分が自然と同調するための周波数を選んでいるのかもしれません。私たち人間は自然の一部です。自然と同調することで身体は癒やされるのです。心癒やされる美しいピアノの演奏に感動したとき、あるアーティストに夢中になるとき、自分の弱っているところに必要な波長(振動数)を持った作品や人を選んでいるのかもしれません。好きとか嫌いとかではなく、もっと深いところで共鳴しているのです。
また、これは異性関係や食べ物にもいえます。だれかを見た瞬間にポッと一目惚れをしてしまうことや、今日は無性にこれが食べたいということも、もしかしたら無意識の感覚なのかもしれません。テレビやメディアでなにかの食品が身体にいいと取り上げられると、スーパーから一時その食品が売り切れるほど世の中の多くの人が飛びつきます。しかし、本当にそれがあなたに必要かどうかということは、別問題です。「右と左どっちにする?」といった、習慣やなんとなく決めていると思っていた選択も、本当は身体が無意識の感覚で選んでいて、どちらを選ぶかは最初から決まっていたことなのかもしれません。
28本の歯で噛むこと
噛むことは叩くことに似ていて、噛むと歯や顎、脳を振動させることができます。また、歯は顎関節からの距離、大きさや形態の違いにより、それぞれ固有の振動数をもっています。食べ物を口に入れたとき、身体が食べ物の大きさや固さを瞬時に判断し、どの場所で噛みたいと感じるか。それは、その振動により身体の歪みを解消させようと無意識に試みているのかもしれません。
人間の歯は親知らずを除くと全部で28本です。これらすべての歯が使えること、機能すること、噛めることで初めて調和がとれるのです。矯正や虫歯、歯周病、事故などでやむを得ず歯を抜かなければいけないこともあるでしょう。前号でお話ししましたが、歯の根の先に病巣があり、そこから全身に細菌が回ってしまう危険性があって、早急な処置が必要な場合もあります。しかし、あなたの生まれ持ったポテンシャルは歯が28本であるということです。お子さんのいらっしゃる方は、自分自身のことはもちろん、まずはあなたのお子さんの小さくてかわいらしく神々しい乳歯が初めて顔を出したときから、歯を大切にしていくべきでしょう。
人工的でない自然な食べ物の選択と、自然と同調する環境は、歯ブラシよりも歯を守る必須アイテムになるのではないでしょうか。