私が一番子育てに醍醐味を感じる瞬間というのは、大いなる宇宙の母性から、子どもとともにスピリチュアルなレッスンを与えられたときです。私自身も母親として、子に伝えるべきことをレッスンさせていただける体験は、この上ない喜びです。

長男とともに体験したこと

長男が小学1年生のとき、まだハワイのオアフ島に住んでいたころの出来事です。私たち親子は〝執着心を手放す〟というレッスンをしました。
　
当時、ディズニー映画の『ファインディング・ニモ』が公開されて、その期間中、マクドナルドが映画のキャラクターのおもちゃを、ハンバーガーのおまけにつけていました。アメリカに住んでいても、私は子どもたちにジャンクフードを食べさせない方針でしたが、この時ばかりは長男の強い要望もあり、週に一度だけ、マックのハンバーガーを買いに行くことにしていました。おまけのおもちゃは週ごとにキャラクターが変わり、最終週は、長男がお目当てだった人気の悪役〝シャーク〟のおもちゃがもらえる週でした。
　
約1カ月半、待ちに待ったその週がやってきました。喜び勇む息子と一緒にハンバーガーを買いに行くと、なんとシャークのおもちゃが品切れになっており、店員さんいわく、もうオアフ島すべてのマックからシャークのおもちゃはなくなってしまったというのです。そのときの長男の落胆たるや尋常ではありませんでした。期待が大きく膨らみ、執着心がピークに達していたからこそ。
　
もちろん私自身もです。息子の顔をのぞき見ながら、なんて声をかけていいのやら。母親として愚かなことをしてしまったという罪悪感もありました。手に入らないものは仕方がない。諦めるしかありません。どうすることもできず家に帰りましたが、彼はショックで丸一日口をきくことができませんでした。翌日ようやく口を開いた息子は、私にこう言いました。
「なぜ、神様は僕がほしかったシャークを与えてくれなかったの!?」
その眼には涙が浮かんでいました。
「こうちゃん、これは執着心のレッスンだったのよ。人は執着すればするほど苦しむの。執着する思いを手放そうね……」
「どうしてマミーは、そのことを先に教えてくれなかったんだ⁉」
「経験をしなければわからなかったことよ。マミーもこうちゃんと同じように、シャークが手に入らなかったことはすごいショックだった。だってこうちゃんがどれほど待ち望んでいたかわかっていたから。毎週楽しみに一緒に買いにいったもんね。だけどマミーも、この経験からこうちゃんと一緒に学んだの。神様にありがとう、しようね」。
　
そしてそんな出来事もすっかり忘れた１カか月後、日本から姉親子が遊びに来たときのことです。姉がスーツケースの中から「はい、これお土産」と言って、息子に手渡したものの中に、なんと手に入らなかったあのシャークのおもちゃが入っていたのです。もちろん姉にはその出来事を一切話していませんでした。姪っ子は女の子なのでシャークは欲しくなかったらしく、こうちゃんにあげると言って持ってきてくれたのです。

1カ月前、執着心を手放すレッスンをちゃんとクリアした息子に、神様は願いを叶えてくださったのです。なんて素敵な演出でしょう！
　
シャークを手にしたときの息子の表情を、私はいまでも忘れません。神様のレッスンは奇跡に満ちています。そしてこの出来事のもう一つのメッセージは、望んでいることを宇宙にオーダーした後は、「本当に叶うのだろうか？」などと心配せずに、執着を手放して宇宙に委ねることです。私たちは大いなる宇宙に愛されています。だから最善のことしか起こらないのです。