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鍼療室からの伝言

鍼灸師の西下先生による陰陽や自然食。二十四節気など古来の智恵のお話

圭鍼灸院 院長 鍼灸師
マクロビオティック・カウンセラー

西下 圭一 (にしした けいいち)

新生児から高齢者まで、整形外科から内科まで。年齢や症状を問わないオールラウンドな治療スタイルは「駆け込み寺」と称され医療関係者やセラピストも多数来院。自身も生涯現役を目指すアスリートで動作解析・運動指導に定評がありプロ選手やトップアスリートに支持されている。

姿勢に現れる

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ときどき治療後に「姿勢に気をつけてね」と声を掛けると、「わかってはいても難しい」と言い返されて、なんだかモヤモヤすることがあります。たぶん難しく考えすぎているのだろうなと推察します。

姿勢というと、胸を張ってきちんと立つことのように考える人もいるでしょうが、緊張を強いられるものが良い姿勢とはいえません。正しい姿勢にこだわり過ぎるあまり、結局なにもしないというのは、とても残念なことです。

年齢と重心の関係

姿勢について考えてみます。姿勢の「姿」とは体つき、身なり、風采など外見を表現していて、「勢」は強さ、活動力、躍動する勢いを意味しています。見た目の格好だけではなく、身体の構え方から動きにつながるものです。胸を張ろうと緊張して肩に力が入っていては、さっと動くことはできないため、良い姿勢とはいえません。姿勢とはその人の持つエネルギーが、姿かたちとなって現れた状態と考えられます。気分が滅入ると背筋は丸まりうつむき加減になる。気分が晴れやかで元気がいいときは自然と姿勢も良くなります。視線が上がれば、前向きにもなるでしょう。心の状態が身体に現れ、身体の状態が心に影響します。そのため、姿勢に心を配ることから気分が晴れて元気になることもあるのです。

先日ラジオで、ある俳優さんが重心の話をされていました。一つのストーリーで、10代から40代までの時間経過を演じる難しさがテーマ。自分の実年齢よりも若い役柄のときには自分の重心を高く上げ、実年齢を超えた役では重心を低く下げるように意識しておられるのだとか。エネルギーの上向きと下向きを、重心の高低で使い分けると表現されていて、なるほどと感心しました。

若い人にありがちな感情に「ウキウキ」とあるように、浮き上がる上昇のエネルギー。嬉しいことがあると「バンザイ」と手を高く上げ、さらに自分も跳び上がります。年齢を重ねてからも嬉しいときにバンザイはしますが、飛び跳ねることはありません。

また「落ち着く」とは静かで安定した状態だけでなく、「そろそろ落ち着いたら?」と年齢相応の行動を促すのにも使われます。「腰を落とす」のも「地に足を着ける」のも下向きのエネルギー。子どもを落ち着かせるのに苦労するのも当然なのかもしれません。

重心の上げ下げも身体の構え方であり、動きにつながるものです。さっと動くためには、まずは足の裏でしっかりと身体を支えること。足裏全体が地に着いていることを意識し、左右、内側や外側、前後、つま先寄りや踵寄りにならず、均等に体重が乗っているか確認します。意識を上げ、重心をおへそのやや下の内に確認する。そして視線を前へと向ける。適度にリラックスしているところから前後左右どの方向にも足を出せるのが良い姿勢。そこからほんの少し重心を高く意識すれば、少しは若く見られるかもしれません。

姿勢と、立ち居振る舞いと

禅の言葉に、「形直影端(かたちなおければかげただし)」とあります。身体の姿勢が美しければ、その影もまた美しいものになる。ここでいう「影」は、物理的な影だけでなく、心や内面を表わすものでもあります。立ち居振る舞いが美しければ、そこに映し出される心の影もまた美しいということです。

外見や身なりを整えることで、心もまた整ってきます。また、心が美しい人は、身なりや立ち居振る舞いも整っている。自分から意識して姿勢を良くしようと努めなければ、心の影も醜くなってしまう。姿勢を正すことで美しく生きられると教えられています。

視線を上げて前向きに、重心を意識して若々しく。そして姿勢を良くして美しく生きたいものですね。

- 鍼療室からの伝言 - 2025年6月発刊 vol.213

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