成長発育期に気をつけたいこと
健康を維持する為に姿勢はとても大切です。とりわけ成長発育期の姿勢には細心の注意を払わなければいけません。何故なら5歳から14歳頃までは永久歯の萌出開始時期と歯列完成時期に当たり、上の歯と下の歯のかみ合わせる位置が決まる時期だからです。この時期に悪い姿勢を継続してそのままの骨格になってしまうと、見た目が悪いだけでなく病気になりやすい身体を作ってしまう可能性もあります。たとえば頬杖をつく癖があると、上下の歯並びが手の当たる部分で内側に移動してしまい、かみ合わせが悪くなり、姿勢も変化してしまいます。また家庭の食卓で、いつも同じ姿勢で同じ位置でテレビを見ながら(極端に片方を見ながらなど)食事をして咬み続けると、歯の移動が起こってしまい骨格の不均等が起こります。
発育期の左右不均衡なスポーツも気をつけないとアンバランスな骨格を作ってしまいます。この場合は筋肉の左右バランスをとり骨格の補正が必要です。これをこまめにやらないと運動の成果も出ませんし、怪我をする確率も上がってしまいます。また、5歳より以前の乳歯の状態のチェックも必要です。何故なら乳歯の歯並びが悪いと永久歯に関係しますし、骨の発育などにも影響するからです。(乳歯の状態は哺乳や出産、胎生の環境にも遡ります。)
日本人は理想のプロポーション
昭和の日本には正座をする機会が多くあり、身体の中心を感じ自分で身体のバランスを診ることができたのですが、昨今は椅子の生活になってしまったために、よほど注意しないとなかなか身体の中心を感じることが難しくなっています。
日本人と西洋人は食べている物が違うために頭の形や骨格が違い、背骨のS字状彎曲をみてもその違いは明らかです。現在は食事も西洋ナイズトされているので、少しずつ変わってきているようですが、日本食が健康に良いと世界中の方が認識してきていることを考えますと、日本人のスタイルは本当はヒトとしては理想的なプロポーションなのかもしれません。そのような背骨を持った日本人が椅子の生活をすると、注意していないと身体が加速して歪んでいき、病気の火種を作ってしまいます。ソファーなどでのリクライニングの姿勢、ズルズルとしただらしのない座り方は、顎の関節の位置を変化させ顎関節症の原因にもなります。ヒポクラテスは「背骨を診よ」という言葉を残しています。背骨のずれや捻れは色々な症状を作ります。勿論かみ合わせが悪いことは顎関節症や中心感覚を失い姿勢を悪くする大きな原因の一つです。
虫歯を作らないのが一番
矯正治療で不良な歯並びからくる不正なかみ合わせを治療することは出来ますが、それには大変な時間と費用が必要になります。20歳くらいで頭から足までの身体の歯車の連続体が一つの完成時期を迎えそれぞれの位置が決まります。虫歯が出来るとその処置の如何で歯の高さや位置、歯車の状態が変化する可能性があります。だから、虫歯は作ってはいけません。歯を磨いていても虫歯になるのは、可動範囲を超えた運動が歯車を動かそうとした時や、発育期での姿勢が悪く歯の位置や歯並びが正常位と違うことによるものです。次回は呼吸についてお話しします。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師・整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |