日本人の主食が米であることは皆さんもご承知のとおりですが、米は成分の大半が糖質ですから、御飯だけでお腹を満たすような食生活をすれば、血液は酸性に傾き、カルシウム不足に陥ってしまいます。ところが案外、日本人は栄養のバランスが摂れているのです。その秘密は醤油にあります。
醤油の旨味はグルタミン酸ソーダであり、昔の人は醤油をとることで体をアルカリ性に調和することを経験的に知っていたのだと思われます。
グルタミン酸は脳の重要な栄養成分であり、食べ物から摂ったグルタミン酸は体内で合成されてタンパク質になり、脳神経を形成し、脳細胞の興奮や抑制を支える物質となって働いてくれています。また、タンパク質は人間の思考、記憶、運動、言語神経などを伝達する上で重要な役割を果たしています。つまり、グルタミン酸を豊富に含む日本の伝統的な食事は健脳食なのであります。
昔の人たちが、醤油の他にもアルカリ性の副食物を摂ることによって体を調和してきた知恵は素晴しいことだと思います。グルタミン酸は大豆製品の凍り豆腐、湯葉にも含まれており、そのほか、さんま、いわし、鮭、イカ、たこ、貝類など天然魚介類、また、鰹節、昆布などに多く含まれています。日本人は、昔からグルタミン酸を多く含む食べ物で、不足する栄養素を補い、体調を整え、思考力をも高めてきました。
一方ヨーロッパ人は、早くから動物の肉を主食にしてきた民族で、日本人のような旨味(グルタミン酸)の感覚の必要性はさほどなかったようです。動物性タンパク質は自然にグルタミン酸化する性質を持っており、グルタミン酸の旨味を自然な形で摂り入れてきたからです。ヨーロッパ人の多くは、ビフテキをミディアムに焼くことを好みますが、そうすることで表面がグルタミン酸でおおわれ、中に残る旨味が逃げず、グルタミン酸を多く含んだビフテキが味わえます。食文化は違えど、食をめぐる人々の知恵がさまざまな効果をもたらすということは共通する点と言えるでしょう。
山口清道
山口清道氏 日本予防医学研究会理事、フルボ酸・腐食性物質機能研究会会長。大手企業や新聞社、薬剤師会、教育委員会その他の各団体が主催する講演会で講師を務め、『食品破壊の実態』『カルシウム不足の脅威』などをテーマとする講演回数は1000回を越える。 現在は講演活動を休止し、食品科学研究所・BAOBAB代表、株式会社バオバブ代表取締役として、イメージ商品が氾濫する現代における、ほんもの食品の研究開発に取り組む。 【山口清道 氏 開発商品】さらり・すらり茶 / さらり・すらり茶ちょっとマテ! / 元気☆がまんの素 / アミノ酸タブレット |