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食べ物と健康のおもしろ雑学

【Vol.45】糠漬け床は何故、かき回さないといけないのか……?

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 最近では、ご家庭で大切にしてきた糠床でお漬け物を漬けるなんて主婦は少なくなってきたようです。糠漬けとは、もとは生干しの大根を塩漬けにして糠を加え、その上に重石をのせて作ったものをそう呼んでいましたが、関西では干していない野菜を糠床に入れ、重石をのせて作ったものを「どぶ漬け」と呼んでいるところもあります。昔から、糠漬けを上手に漬けられれば一人前の主婦だと言いわれてきました。つまり、糠漬けを上手に漬けるということは、家事のすべてに細心の気配りができ、家庭を上手に切り回しができることと同じであるという訳なのです。

 具体的にいえば、糠みその酸味や風味は糠床に熟成する乳酸菌の働きによるものなのですが、その乳酸菌は気難し屋の亭主みたいなもので、常にご機嫌をとらないと思うように働いてくれないし、かといって、どうしてもなくてはならない、困った存在の菌(人の健康維持においては有難い存在)なのです。

 人間の亭主は、放っておくとギャンブルや他の女性にうつつを抜かしたりして、ロクな亭主になりません(もちろん人にもよりますが)。知恵ある主婦は、亭主をあるときはおだてながら、ご機嫌をとりつつ上手く付き合います。糠みその乳酸菌も同様で、ちょっと気を抜くと、すぐに糠床の中の酪酸菌や酵母、雑菌などと仲良くなってしまい、余分なバクテリアを繁殖させてしまう要因になってしまいます。

 糠床の管理を怠ると、酸味がきつくなって悪臭を放つようになってしまいます。

 そうならないようにするためには、日に三度はかき混ぜ、酪酸菌や雑菌の繁殖を防ぐことが大切です。なぜなら、これらの菌は空気に触れると発育が止まる性質を持っているからです。悪の温床を絶って、乳酸菌の居心地を善くしてやることが糠漬けの上手な漬け方であり、これこそ手塩にかけて育てるということなのです。

山口清道

山口清道氏
日本予防医学研究会理事、フルボ酸・腐食性物質機能研究会会長。大手企業や新聞社、薬剤師会、教育委員会その他の各団体が主催する講演会で講師を務め、『食品破壊の実態』『カルシウム不足の脅威』などをテーマとする講演回数は1000回を越える。
現在は講演活動を休止し、食品科学研究所・BAOBAB代表、株式会社バオバブ代表取締役として、イメージ商品が氾濫する現代における、ほんもの食品の研究開発に取り組む。
【山口清道 氏 開発商品】さらり・すらり茶 / さらり・すらり茶ちょっとマテ! / 元気☆がまんの素 / アミノ酸タブレット

- 食べ物と健康のおもしろ雑学 - 2011年6月発刊 Vol.45

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