庶民的な魚の代表にさんまがあります。江戸っ子に親しまれた落語、「目黒のさんま」は有名ですが、江戸時代には「さんまが出ると按摩が引っ込む」といわれるくらい、秋の健康食として持てはやされていました。
さんまが文献に登場するのは江戸中期ごろですが、鯛も鯵も鯖も、ほとんどの魚は呼び名に魚へんが付いているのに、このさんまは「秋刀魚」と書き、魚へんが付いていません。これは、漢字の発祥である中国ではさんまが捕れなかったからであり、「秋刀魚」とは和製漢字なのです。秋の月夜に捕ったさんまが刀のように美しく見えたところから、秋刀魚と名付けられたとも言われていますし、さんまの「さ」には、ささの葉のように細いとか、小さいといった意味があり、「んま」は「まな」という宮中言葉「魚」のことであって、魚体が狭く長い魚「狭真魚(さまな)」が、さんまに転訛したという説もあります。
いずれにせよ、秋刀魚という呼び名にはどこかロマンチックな物語を感じさせられます。秋刀魚には良質のタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルがたっぷり含まれており、栄養満点の大衆魚なのです。私も子どもの頃によく、ウチワで扇ぎながら七輪で秋刀魚を焼いていましたが、その光景が懐かしく思い出されてなりません。
魚の鮮度を見分けるコツ!
新鮮な魚を選ぶコツは、まず目で見て魚体がピンと張っていて身が締っているか、指で押して弾力があるかどうかを確認することが重要であり、同時に、臭いの少ないものほど新鮮であることを知っておくことが大切です。また、「まいった魚は目を見ればわかる」というように、魚の目が赤くて落ち込んでいるようなものは失格です。
エラは魚体中で最も腐敗しやすい部分であり、新鮮なものは鮮紅色ですが、古くなるに従い灰色を帯びて形もくずれてきます。切り身の魚は透き通っているものほど新しく、乾いて割れが入っているものは古くなっている証拠ですから、買う前の判断に役立てると良いでしょう。
山口清道
山口清道氏 日本予防医学研究会理事、フルボ酸・腐食性物質機能研究会会長。大手企業や新聞社、薬剤師会、教育委員会その他の各団体が主催する講演会で講師を務め、『食品破壊の実態』『カルシウム不足の脅威』などをテーマとする講演回数は1000回を越える。 現在は講演活動を休止し、食品科学研究所・BAOBAB代表、株式会社バオバブ代表取締役として、イメージ商品が氾濫する現代における、ほんもの食品の研究開発に取り組む。 【山口清道 氏 開発商品】さらり・すらり茶 / さらり・すらり茶ちょっとマテ! / 元気☆がまんの素 / アミノ酸タブレット |