秋、学生スポーツでは一つの成果が見えてくるころです。
最終学年が引退し、新メンバーで厳しい夏のトレーニングに励んできた結果です。
自分では仕上がってきたつもりでいたのに、新人戦で思うような結果が出なかったり、上には上がいるということを身をもって知らされたりする時期でもあります。
ここで大切なことは、結果に一喜一憂しないこと。
上にいる存在を知れたことで、またひとつ可能性が拡がったと受け取っておきたいところ。
禅の言葉に「増上慢(ぞうじょうまん)」といって、自分は優秀だとおごり高ぶり、謙虚な気持ちを失うことを戒めるものがあります。
「上には上がいる」と自覚しておくことができれば、良い結果が出ても謙虚でいられる。
そしてそういう人にこそ、周りや環境が味方をしてくれるようになるという教えです。
季節ごとの意味を意識する
季節とは春夏秋冬。
春は芽吹きどき、見えなかったものが見え始める。
夏は成長、見えたものが発展し伸びていく。
秋は実り・収穫、成果を受け取る。
冬には活動は控え、次の季節への準備と課題に取り組む。
それぞれの意味合いを意識しておくことで、さらに大きく成長できる可能性が拡がります。
ここでいう秋の「成果」が夏からの数カ月のものか、もしくは一年間という期間から見たものかを区別しておく必要もあるでしょう。
そのうえで見つかった課題に対してこれからの冬の季節に真正面から取り組み、次の年の春から夏のシーズンに長所を伸ばすことで「化ける」ほどの活躍へとつながります。
こうした季節を意識し、シーズンが始まるまでに課題を克服しておくこと。
シーズンが始まってから苦手なことに一生懸命に取り組んでいるようでは、成果は見えにくいでしょう。
課題に取り組むといっても、人は苦手なことは避けて通りたいもの。
だからこそ、積極的に人の意見に耳を傾けることが大切です。
また、時にはまったく違う分野のことに取り組んでみることで、ヒントが得られることもあるので、広い視野も必要です。
一方で自分の得意なことを伸ばしていく段階では、自分の感覚を重視するといいでしょう。
いい人になり過ぎて、なんでもかんでも人の言うことを取り入れ過ぎて、特有の良さが消えてしまうこともあるのです。
自分の得意なことなのだから、自信を持つ。
そこはある程度のふてぶてしさもあるくらいでいいのではないでしょうか。
自信と傲慢とは、違います。
自信とは、自分の得意なことを信じて揺るぎないこと。
傲慢とは、自分は何でもできると思い上がっていることです。
いわゆるウィンタースポーツではこれらの季節は逆に捉え、夏までに課題を克服し、秋から冬のシーズンは得意を伸ばしていくこと。
いまから苦手なことに取り組んでいるようでは活躍する前にシーズンは終わってしまいます。
自身との比較からの自信
これらのことは、なにもスポーツの分野に限ったことではありません。
勉強でも仕事でも、意識するポイントは共通しています。
とりわけ病気療養でも、自分の感覚を重視することはとても大切なことです。
検査結果の数値や主治医からのコメントはどうしても気にはなるものですが、自分の感覚と離れているときは、自分を信じてほしい。
それが自分の人生を生きているということです。
検査データに振り回されているようでは、検査のために生きているということにもなりかねません。
「ご飯は食べられているか?」「外出できているか(自分の足で)?」「元気になったと感じられるか?」。
それらが良い状態なのであれば、自分の感覚を信じて検査結果に振り回される必要はありません。
比べるのは、他人でも数値でもない。
昨日の自分と比べて良くなったと思えること。
この感覚こそが可能性を最大に拡げられます。