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生物経済学事始

【Vol.22】(その4)人間、斯くも奇妙な存在・続き

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これまでお話してきたように、自然科学を発達させることによって自然環境のストレスから開放された人類は20世紀に入ってから自然本位制から完全な人間本位制へと一挙にパラダイムシフトしてしまいました。特に、文明先進国でこの傾向は強くなる一方で、物質文明の著しい発展がこれを後押しすることになりました。この物質文明という強大な力を背景にして文明先進国に地球上のほとんど全ての資源と富が集中してしまったのはご存知の通りです。「文明」の本質は画一的皮相的なもので本来手段であったはずのものですが、人間の物欲を際限もなく満たしてくれるという有難い神器となったためヒトの属性として欲望だけが特化した人間にとって無限の可能性を与えてくれるものになりました。核の無い栄養器官だけが肥大化したアメーバーのようなものでしょう。

前にも書いたように、生物学的には身体能力の観点から見れば極めて脆弱な生物である人間にとって生活環境に対する快適性の追求は最優先される欲求でしょう。この欲求が充足されると真っ先に大脳に記憶されます。この記憶中枢がどんどん発達し支配的になると全ての欲望にリンクしていく事になるのではないかと思われます。
支配欲、権力欲の実現も快適性の追及の結果です。この快適性を獲得する為の手段として最初の段階では身体能力の優れた者が優先されたのですが、文明の発達と共に大脳能力の優れた者へと変わってきました。そうなると、ほとんど全ての人間が大脳を特化させなければならないというストレスに囚われるようになります。特に、生まれつき身体能力の劣勢な者にとって、例えば、人より並外れて背が低いといった劣等感はどうしようもないストレスになります。しかし、昔と違って知恵を使えばこのストレスから開放されるという文明時代になってからは歴史的にも小男が強大な権力を身に付けるということが可能になってきました。フランスのナポレオン、ドイツのヒットラー、ソビエト連邦のスターリン、ロシアのプーチン等はいずれも小男ですが、並外れた権力志向の持ち主であることが共通しています。勿論、権力欲は人間の属性の大きな部分を占めていますから、男女を問わず通有のものです。権力とは己の快適性を獲得するのに一番の近道ですから、身体的、大脳的調和の取れた能力を備え、悠々と自立できている者以外ではほとんどの者がどのような形でも手に入れようと考えているでしょう。
ご存知の方もおられるでしょうが、ある心理学者が人間の権力志向について調べるために、一般人の中から選んだ人々を二組に分け、刑務所を実験の場として一組を看守グループに、もう一方を受刑者のグループに分けて、通常の刑務所内での生活を模擬実験したところ、看守のグループは権力側としての顕著な行動が目立ち始め、受刑者側は著しい精神的な萎縮と卑屈さが表れたため恐ろしくなって僅か一週間で実験を中止したという話を読んだ事があります。かなり昔の事になりますが、東京の池袋駅で二人の浮浪者が話をしているのを何気なく小耳に挟んだのですが、一人の浮浪者が相手に向かって、自分の身内に会社の社長をしているのを自慢していました。これらの例でもお分かりのようにほとんど全ての人々が何らかの形で差別化による自己の優位性を主張したいと考えていることが分かります。これも全て己自身を快適な環境に置きたいという欲求のなせる業でしょう。

これまで、三回にわたって生物学的な立場から見れば奇妙な存在としての人間について述べてきましたが、生物界におけるヒト(ホモ・サピエンス)という一属一種の生物種の特異性はネアンデルタール人類も含めた我々現生人類の祖先が直立二足歩行という特技を身に付けたことによって上肢の自由度が飛躍的に上がったことに因る道具の使用が可能になったことに尽きるでしょう。道具から機械へ、更に高度な科学技術へ発展する過程で環境に適応出来る身体能力の低下と反比例して大脳の機能は飛躍的に増大し、両者のアンバランスが極大化してしまいました。このアンバランスが途方もないストレスになってしまったのが現代の文明先進国の人々でしょう。このような人種は新たなホモ・ストレシスという分類に入れなければならないかもしれません。この種の人種は、ストレスが掛かれば掛るほど脳が活性化されます。そして身体に負担の掛るような自然環境そのものからますます離れていくことになるのでしょう。その一方で、この地球上に存在するその他の生命体は見事なバランス(調和)の上に生命圏(ジオスフィア)を構築してきたのです。
当然ながら、どちらを是正しなければならないかは自明の理です。

そのためには、このホモ・ストレシスという人種の属性を十二分に把握しておかねば新たな経済の枠組みを作り上げることは出来ないでしょう。

野村隆哉(のむらたかや)

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。

- 生物経済学事始 - 2009年6月発刊 Vol.22

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