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生物経済学事始

【Vol.25】(その7)これまた摩訶不思議なヒトの脳

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 今年の梅雨は熱帯雨林が移動してきたような状態になりました。高温多湿、凄まじいゲリラ豪雨。これは正に私がアマゾン、スリランカや東南アジアの熱帯雨林の中で経験したものと同じです。スコールが来るときは、地響きから始まりその後で一挙に滝壺に放り込まれるような雨になります。我国では、これまで数十年間起こり得なかった事が突如として起こるのですからパニック状態になるでしょう。ヒトに限ったわけではないと思いますが、自分が経験したことのない、理解の出来ないものに出会うとほとんどの人間はパニックになり、狂乱状態か呆然自失状態になります。その時、沈着冷静に行動できるには経験や知識、知恵の蓄積が必要ですが、いずれの場合でも脳が関与しています。

 前回、養老孟司の唯脳論から引用した中に『われわれはハード面でもソフト面でも、もはや脳の中にほとんど閉じ込められたと言っていい。』という文章がありましたが、正に、脳を知ることこそ己も含めて他人、人間社会の全てのシステム、地球環境の問題にとって不可欠なものになると思われます。

 現代科学が解明しつつある脳研究に就いては、最近多く出版されるようになった専門書や解説書に任せることにして話を進めさせていただきましょう。まず脳の機能を司る上で重要な役割を持つ神経細胞ですが、立花隆の「脳を究める」という著作に拠ると、大脳皮質1立方ミリの中に約10万個の神経細胞があり、一つの神経細胞にはシナプスと呼ばれる神経細胞間を連結する機能を持つ突起が1万個出ている。それゆえ、1ミリメートル真角の中に全部で10億個のシナプスが存在する。それによって無数の神経回路が出来、それらが連結されて、神経回路網を形作っている。

 大脳皮質と呼ばれる部分は、厚さが僅か2ミリ弱に過ぎないが、広さは2230平方センチに達するそうです。神経細胞の数は4460億個、シナプスの総数は驚くなかれ4460兆個になります。ヒトの体細胞は全部で60兆個だと記憶しているのですが、これに比べてシナプスの数は約74倍、これは大脳皮質の部分だけのシナプスの数ですから脳全体では広大無辺な宇宙の星の数ほどあるでしょう。脳の内部は考えるだけでもただただ不思議な世界です。「この神経回路網がどういう構造になっていて、どのような機能を持っているのか。どういう情報がどう流れて、どう処理をされ、それが脳機能とどのように結びついているのか。」そういうことは、大脳に関しては、実はさっぱりわかっていないそうです。私たち人間の属性である知・情・意を司る重要な部分の知識を一般人は言うに及ばず脳研究の専門家でも把握できていないのですから、ヒトがヒトとして統一的根源的な思想に基づいて地球上の全てのいのちの共生を目指した調和の取れた正しい方向に導いていくということはほとんど不可能のように思われます。この神経細胞4460億個と4460兆個のシナプスで構成される神経回路網の順列組み合わせの数たるや気が遠くなります。個々人の知・情・意はこの組み合わせによる大脳の指令によって行動として現れてくるのですから、正に、百家争鳴、十人十色、歴史は繰り返すと言ったところでしょう。これらを作り出すのが遺伝子であることはほぼ一般常識になっていますが、私たちヒトは、好むと好まざるに関わらず生まれてくるとこの膨大な数の神経回路網を担わされ、無意識にその支配下に置かれてしまうことになります。

 「キメラ」という名をご存知の方もおられるでしょうか。ギリシャ神話の中に登場するライオンの頭、ヤギの体、ヘビの尾を持ち、口から火を吹く仮想上の動物ですが、昆虫等では蝶の仲間で、時々体の左が雄、右が雌の特徴を持ったものが現れることがあります。これをキメラといいますが、ヒトにも同じような現象が現れます。例えば、二次性徴はどこから見ても男性であるのに、心は女性であるような場合も一種のキメラでしょう。この場合は、体の中の内分泌系が何かの弾みで狂ってきて、脳の指令によって女性ホルモンであるエストロゲンが女性並みに分泌されるようになった結果が一つの原因だそうです。この反対に男性ホルモンのテストステロン分泌過剰による女性の男性化もありますが、当人はさっぱり分からないで生涯悩み続けなければなりません。周囲の人々も理解できないものを見るわけですからいろいろ厄介な問題が起きてしまいます。これも脳の中の複雑な神経回路網のなせる業かもしれません。イギリスの例ですが、テリー・ライトさんという61歳の男性は15年前から乳房が発達し始め母乳が出てくるようになったそうです。それまでに、奥さんとの間に5人の子供をもうけていたのですから、何とも不思議な話です。

 またまた途中になりましたが続きは次回に。

野村隆哉(のむらたかや)

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。

- 生物経済学事始 - 2009年9月発刊 Vol.25

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