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生物経済学事始

【Vol.26】(その8)これまた摩訶不思議なヒトの脳

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 日に日に秋らしくなり、わが研究所の庭もコスモスが咲き始めました。ヒグラシに代わってツクツクボウシの蝉時雨、黄金色の稲穂に夏アカネトンボの群れ。研究所の周辺は穏やかな時の流れですが、巷は自民党から民主党へと政権交代が起こり新しい潮流が生まれようとしています。本当に良い方向に動いてくれることを願うのみですが、私達もこの時代の節目で自分の役割を確りと担っていくことが大切でしょう。

 さて、本論に入らせていただきます。前回書いたように脳皮質の神経細胞とシナプスの数が4460兆個と気の遠くなる数があるそうですが、これに加えて種々のホルモン物質が分泌され、女性らしさを司るエストロゲン、男性らしさを司るテストステロンというホルモン物質の分泌割合の微妙なバランスによって強雄や強雌、弱雄や弱雌が出来てくるのでしょう。男女がそれぞれ伴侶となる相手を選ぶ場合も、その判断基準は異なるようです。一般的には、男は視覚、すなわち見た目を重視するようですが、女は記憶を大切にするようです。この判断基準にも男女それぞれの個体でのエストロゲン、テストステロンの分泌割合のバランスによって選択基準も千差万別になるのは当然でしょう。

 これもイギリスでの例ですが、ウイル・スクールクラフトさんは離婚を4回も繰り返し、自分でも何ゆえそうなるのか分からないそうですが、脳生理学によると、ブァソプレッシンというホルモンの受容体が多い場合は、パートナーと長く付き合うが、この受容体が少ないとパートナーと長続きしないという結果をハタネズミを用いた実験で明らかにされています。又、離婚に関わる遺伝子のタイプで334というタイプの持ち主は2倍の確率で離婚しやすいという結果が得られているそうですが、この遺伝子を持つ者はブァソプレッシンの受容体が少ないそうです。近い将来、結婚しようとする者同士が互いのブァソプレッシンの受容体の量を確かめるようなことになるかもしれません。そうなると、「ときめき」「おののき」「めくるめく」と言った言葉は死語になり、無味乾燥な男女関係が新たに生ずることになり、離婚因子も別の組み合わせが出てくるでしょう。

 前頭葉前皮質は物事の善し悪しを判断する部位だそうですが、恋をするとこの部分の活動が鈍くなることが分かっているようです。「恋は盲目」という言葉がありますが、これもイギリスの例ですが、スーザンさんという58歳の女性は、恋をする度に離婚を繰り返し、今の夫とは4回目の恋だそうですが、死ぬまで後何回恋をするのでしょう。

 プロジェリアという遺伝子欠陥の病気は平均寿命が13歳、体全体の細胞が急速に老化していく病気だそうですが遺伝子の働きの不思議さにはお手上げです。

 鬱病も近年急速に増えている病気で、厚労省の調査で2005年に92万4千人、1999年に比べて二倍以上に急増しているそうですが、今や百万人を超えているそうです。これは、脳の中の海馬と言う部位の神経細胞の壊死による海馬の萎縮が大きな原因だそうですが、引き金になるのはストレスが主な原因のようです。正に、ホモ・ストレシスである都市型人間の罹りやすい病気と言えるでしょう。このようなストレス性疾患は症状の形は同じでも発症の原因となるストレスは異なるため「心の風邪」などと簡単に片付けると大変な事になりかねません。

 これまで述べてきた事例は脳と深くかかわりを持っています。全ての人々がヒトの脳の働きを出来る限り客観的に理解し、共有できるコンセンサスを持つことでバランスの取れた社会が築けるのではないでしょうか。しかし、現実はほとんど全ての人々が脳の働きなど意識しないで、己の本能のままに行動しているようです。最近の朝日新聞の記事に面白いことが書いてありました。東大の長谷川寿一さんというチンパンジーの個体群の研究をされている人ですが、彼によると、チンパンジーの群れの序列1位(ボス)の雄が好物のイノシシや鹿の肉を手に入れた時、分配方法に三つの規則があることが分かったそうです。

 まず、ライバルである第二位の雄には絶対に渡さない。若い雄にも配らず、機会あるごとに攻撃する。自分を支持する者にだけは与える。という規則を守っているとの事です。
この記事を読むと、私たちはチンパンジーに比べて基本的にはほとんど進化していないことが分かります。今日の経済社会での自由競争という美名に隠れた潰しあい。政党内での派閥競争、権力闘争、政党間の権力闘争。チンパンジーと何ら変わらないというよりも、親分は体を張って群れを助けるどころか早々と逃げ出すところは猿にも劣るでしょう。

 自然科学がこれほど発達し、多くの叡智が世に伝えられているのにヒトの群れの行為は未だに猿の域を出ていないのです。何とかするべきでしょう。

野村隆哉(のむらたかや)

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。

- 生物経済学事始 - 2009年10月発刊 Vol.26

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