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生物経済学事始

【Vol.28】(その10)経済学のノヴァ・パラダイム

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 10月末から11月初旬までわが研究所はインベーダーの襲来のような騒ぎになります。冬ごもりのカメムシ、テントウムシ、蛾の仲間のムラサキシタバ。特に、カメムシは大変です。うっかり触ろうものなら強烈なガスを放出し、そのにおいもさることながら、直接皮膚にこのガスが当たると針に刺されたような痛みに襲われます。これも自然との共生とあきらめ、カメムシ達が冬眠のねぐらにこもってくれるのを待つしかなさそうです。
さて、生物経済学事始のまとめに入りたいと思いますが、その前に先進国、中進国、発展途上国を問わず今日進められている工業文明を基盤とした経済成長率至上主義が近未来にもたらされるであろうカタストロフィーについてまとめておきましょう。
まず、ブラックユーモアのような現実を数字で並べてみましょう。

  • 4町歩(1万2千坪)の水田からの年収は622万円、諸経費(562万円)を差し引いた残りは60万円。石川遼君という18歳のプロゴルファーの年間賞金獲得料は1億2千万円。これをコメ作りで得ようとすると約72・7町歩(21万8千百坪)の水田を一人で作らなければならない。
  • 樹木1本の年間保水量は5万7千ガロン(約216トン)。直径50cm、長さ4mのスギ丸太(約80年生)の値段が3万5千円。
  • 消費大国アメリカは、毎年世界中から8千億ドル(80兆円)の借金をする一方で消費を煽るための広告宣伝費に年間5千億ドルを使っている。
  • 地球上の人口が10億人になるまで15万年かかったがこの130年で10億人の人口増。
  • 地質年代での古生代の終わりの年代をペルム紀と言うが、今から2億6千万年から3億年前、この時代の終わりに起こったカタストロフィーで地球上の生命の95%以上が絶滅したといわれている。約4千万年続いたのであるが、人類が現れ、火を使い始めた40万年前を現生人類のスタートと考えると、このまま経済成長率神話を信奉し続けることによって工業文明を拡大していけば短くて200年、長くても千年後には地球上の生命は人間の手によって壊滅するだろう。地質年代でペルム紀と比較すると、百分の一、今日の地球環境破壊の要因が生まれた近代文明が19世紀から始まったとして、今から200年後にカタストロフィーが来るとすると400年、ペルム紀の千分の一の短期間で人類自らの手によって絶滅することになる。
  • このまま地球温暖化が進むと、今後20年から30年で北極海の氷は全部溶けてしまい、海面の上昇で1億5千万人が難民となる。ところが、これをビジネスチャンスと考え、北極海の航路の利権を手に入れようと真剣に考えている輩もいる。正にブラックユーモアである。

 以上、極僅かな事例を挙げたのであるが、これらの事について多くの叡智が警鐘を鳴らし続けているにもかかわらず大多数の者は目先の対症療法で切り抜けることしか考えていません。多くの人々に影響を及ぼせるような叡智を持つ人は地球上の60億の人間の中の1万人もいないでしょう。地球上の総人口の0.00017%に過ぎない。その一方で、今日の工業文明の中心であるコングラマリット(世界企業)は、これまで述べてきたホモ・サピエンスの本質である「快適性の追求」という欲望を大衆化、肥大化させるため商業主義を基本にして消費者民主主義とも言われている欲望の無限の追求に歯止めを掛けないシステムを作り上げると共に、企業をグローバル化させ、彼等が生み出す環境破壊を巧妙に分割、分断させることで今日の地球環境の置かれている現実を覆い隠しています。目先の欲望充足のために夢中の一般大衆は、快適性を追及するために次々に生み出される工業製品とこれを巧妙に売りさばくための宣伝広告の虜になってしまっているのではないでしょうか。このコングラマリットに関わる人口は世界の億万長者の数から推定しても100万人を超えることはないでしょう。そのほとんどがホモ・ストレシスという新人類に分類されると考えられます。彼等は人間の低次元の欲望の求道者であり、この低次元の欲望の達成は多くの人々の民意であり、成功者は憧れの対象でもあるのです。このコングラマリットを担う人種は、「いのちの共生」という枠組みに棲んでいません。

 本来、国家を担うべき政治の機能としての政府は公益を代表するものであり、人間個々人が本質として持っている際限もない欲望の肥大化を抑制し、調和させる役割を担うべきものですが、コングラマリットに取り込まれ、金まみれの政治システムが世界中を席巻してしまいました。この体制を変換しない限り、私達は近未来の地球環境の崩壊というカタストロフィーに突き進むでしょう。

 私達大衆は、「吾唯足るを知る」を基本とし、政府は公益の代表者として、執権を持ち法の強制によって導いていかなければ生き残る術はないように思われます。
本小論の残り2回で私なりの問題解決のための私案をまとめてみたいと考えています。

野村隆哉

野村隆哉(のむらたかや)氏
元京都大学木質科学研究所教官。退官後も木材の研究を続け、現在は(株)野村隆哉研究所所長。燻煙熱処理技術による木質系素材の寸法安定化を研究。また、“子どもに親父の情緒を伝える”という理念のもと、「木」本来の性質を生かしたおもちゃ作りをし、「オータン」ブランドを立ち上げる。木工クラフト作家としても高い評価を受けている。

- 生物経済学事始 - 2009年12月発刊 Vol.28

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