朝、目覚めて身体を動かそうとするとき、皆さんはどのように動き始めますか。すぐに飛び起きてもなんともないという方もいらっしゃると思いますし、少しずつ膝などの関節から動かし、軽く体操してから起きるという方もいらっしゃるでしょう。若いうちはなにもせず飛び起きていたという方が多いと思いますが、私も55を過ぎ、起きるまでにはいろいろな準備をするようになりました。なぜなら、寝ている状態と立った状態では重心バランスが違い、立ったほうがバランスを取りにくいと感じるからです。そんな私の朝の状態をご紹介しようと思います。
身体の左右差を調整する
目が覚めると、まず、寝たままの姿勢で膝を立て左右に倒します。そのときに腰の左右差や、緊張度合いが左右対称かを診ます。その次に左右の膝を抱え込み胸に着くようにします。このときも左右差がないかをチェックします。さらに膝を外側に向け股関節を開き、ゆっくり左右差を診ます。そして足の指を一本一本曲げたり伸ばしたりします。これで下半身は終わりです。
次に寝たままの姿勢で首を左右に回します。それから右の手の平を頭の後ろから左の首筋にあてがい、首を左後ろに倒していきます。またその反対もします。そのときにも左右差を診ます。そして手首を左右に回し、指を一本一本曲げていきます。そこで初めて立とうかなという気持ちになります。
立ったときの重心バランスはとても大切で、なるべく筋肉を使わないで立てるのが理想的です。重心が真ん中にあると力が最小限ですみます。このような動きを、おおよそ2~3分かけ、身体に聞きながら必要な動きをしています。その後、走ることもあるのですが、そのときは、肩入れストレッチをしながら腰の位置が中心になるように確認してから走り始めます。そうすると楽に走れるからです。
簡単にできる調整法
前述のようなことが面倒くさい方には、もっと簡単な調整法があります。頭蓋骨の左右を揃えるイメージで、頭の左右を両手で押さえてストレッチをすると、身体の左右が簡単に揃います。身体のバランスは頭(脳)が決めているからです。
それも面倒くさい方は、顎を左右に動かし、口を開けて両手の人差し指と中指を下顎にひっかけて咬んでみてください。咬むときに頭が下がりますので、頭は少し上向きに固定したまま咬むようにします。咬む力を利用して頭の左右差を均等にするように、咬む方向を調整してみてください。
重症筋無力症という全身の筋力が低下していく難病がありますが、その患者さんの最後まで動く筋肉が、顎の筋肉と呼吸筋だといわれます。顎を動かす筋肉は、食べるために必要だからかもしれませんが、人間本来の原始的な筋肉と思われます。顎を左右均等に動かせない場合、身体の不調が必ずあるはずです。歯がない方は頭のストレッチを、歯がある方は咬むことで、身体の調整ができるということです。
科学的にはまだ解明されていませんが、頸椎が7本あり、歯が左右にそれぞれ7本あることにも、なにか不思議な因果関係があるように思えます。漢字には意味が込められています。頸椎の2番目には「歯突起」という突起があるのですが、これはかみ合わせの中心が頸椎2番にあるという証なのかもしれません。
「歯」は、「米を口に止める」と書き、日本人の主食の米を食べることを意味します。旧字体の「齒」は、「口の中にある舌の位置やかみ合わせの平面、齒が人の左右のバランスや上半身下半身のバランスを止めている」という意味です。古の人は、米(玄米)を食べることで身体の中心ができることや、身体のバランスに歯が関係していることを知っていたのではないでしょうか。