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自由教育ありのまま

「日本でいちばん楽しい学校」で新任教師がみた子どもたち

学校法人きのくに子どもの村学園かつやま子どもの村小中学校教員

中川 愛 (なかがわ あい)

かつやま子どもの村小中学校、きのくに国際高等専修学校を経て、立命館大学文学部卒業。高校生時代に東ティモールという国と出会い、残酷な歴史を背負いながらも、笑顔が絶えない東ティモールが大好きになる。「東ティモールのことを少しでも多くの人に伝える」ことを目標に、2019年度4月から、母校であるかつやま子どもの村で教員として働いている。父は、プレマ株式会社代表取締役の中川信男。

子どもたちの願い

投稿日:

七月の七日。この日は小学1~3年生の「ことば」の授業で七夕の物語を扱った。物語の映像を見たあとに、みんなで短冊をつくり、それぞれ好きな願いごとを書いた。私が思いつく低学年の七夕の願いごとといえば、昔、妹が書いていた「お金持ちになりたい」とか、「ゲーム機を買ってもらえますように」ぐらいのものだった。そのため、子どもたちの書いた願いごとを見て驚いた。というのも「しんがたコロナウイルスがおちつきますように」「コロナがおわりますように」「コロナウイルスがこれいじょうひろがりませんように」「ころなういるす おさまる」「コロナがなくなるように」など、ほとんどの子がコロナウイルスについて書いていたからだ。感染症が大流行しているなかでも、子どもたちは6月から学校に来て、友だちと元気に走り回って遊び、楽しそうに過ごしている。しかし、私たち大人が思っている以上に、感染症をめぐる動きは子どもたちに大きな影響を与えているのだと感じた瞬間だった。
 
みんながあまりにもコロナについて書くので、「短冊を何枚使ってもいいよ」と声をかけ、そこからみんな思い思いの願いごとを書き始めた。途中から授業の終わった高学年の子たちも教室に入ってきて、みんなで短冊を書き始めた。
 
どんな短冊ができあがるのか楽しみに見ていた。「コロナとせんそうがなくなりますように」「コロナがおわってイギリスに行けますように」「コロナがなくなって、みんな元気にクラスの活動をできますように」「ころなういるすがなくなってりょこうにいけますように」「コロナがおわって、おじいちゃん、おばあちゃんちにいきたい」。やっぱりコロナウイルスのことがたくさん出てくる。たしかに、今の日本や世界の状況では、旅行に行きたくても、遊びに行きたくても実現はなかなか難しい。ふだん無邪気に遊んでいる子どもたちでも、テレビやインターネット、まわりの大人たちの会話など、いろいろなものからその状況を知り、とんでもない事態だと感じざるをえないのだろう。
 
さらにどんどん書いていくと、子どもたちらしい願いごとも出てきた。「やさいがいっぱーいとれますように」「おかねもちになれますように」「うんがよくなりますように」「もういっかいレゴランドホテルにとまれますように」。子どもたちが自由に夢を描くために、この感染症の終息が必要なのだとすれば、私たち大人はそれをいちばんに考えなければいけないと強く感じている。

人に優しくできる大人に

「あいちゃん、バイバイ!」クラスの高学年の女の子2人が寮に帰るときにあいさつに来てくれた。その日は「1日プロジェクト」、つまりすべての授業が体験学習の時間の日だった。私が担当するクラス「くいしんぼうキッチン」では1日かけてパンを作った。高学年の女の子たちは小さい子の面倒をよく見てくれた。材料を一緒に計量したり、レシピを確認しながら一緒に作業に取り組んだりとよく働いていた。「バイバイ、おつかれさま!」と声をかけると、ふたりが笑顔で帰っていく。そのすぐあと、ふたりの会話がこちらまで聞こえてきた。「おつかれさまって言ってくれるけど、いちばんおつかれさまなのは、あいちゃんだよね」。たしかにこの「1日プロジェクト」の日は、大人もとても忙しい。それにしても、自分たちが疲れているなかで、大人のことまで気にかけてくれているとは思ってもいなかった。
 
七夕の短冊でも、このふたりの会話でも、子どもたちにはいつも驚かされる。自分が大変なときでも、周りの様子をみて人に優しくできる。今年度のはじめに、担当の教員たちとどんな子に育ってほしいか話をした。人に優しくできる子になってほしい。そんな子どもたちが育ってきているようだ。

- 自由教育ありのまま - 2020年9月発刊 vol.156

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