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自由教育ありのまま

「日本でいちばん楽しい学校」で新任教師がみた子どもたち

学校法人きのくに子どもの村学園かつやま子どもの村小中学校教員

中川 愛 (なかがわ あい)

かつやま子どもの村小中学校、きのくに国際高等専修学校を経て、立命館大学文学部卒業。高校生時代に東ティモールという国と出会い、残酷な歴史を背負いながらも、笑顔が絶えない東ティモールが大好きになる。「東ティモールのことを少しでも多くの人に伝える」ことを目標に、2019年度4月から、母校であるかつやま子どもの村で教員として働いている。父は、プレマ株式会社代表取締役の中川信男。

学校が大好きな子どもたち

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この原稿を書いている7月の終わりに、私が働いているかつやま子どもの村小中学校では夏休みが始まった。今学期最後の授業で、「明日からの夏休み、楽しみだね!」と声をかけると、「夏休みやだー!」、「学校の方が楽しい!」、「家はヒマだからイヤだ!」などと、子どもたちが口々に言い始めた。大きな声で答えてくれたのは、4月に入学してきた1年生たちだった。1年生のホームシックについては、以前この連載でも触れたことがある。始めの頃は、毎日のように泣いていたり、「もうお家へ帰りたい」と言いに来たりしていた子たちが、いまは逆に学校に通えないのを悲しんでいる。

このように、子どもの村では長期休みを残念に思う子が多い。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休校となった期間も同じ反応をする子が多かった。学校宛てに「早く学校に行きたいです」という内容の手紙がたくさん届いた。

学びの楽しさに触れる

私が担当している「くいしんぼうキッチン」というクラスで、学期末にミーティングをした。議題はプロジェクトの活動に入りにくい子についてだった。その子は「家でゲームをしていたい。本当は学校に来たくない」と言う。それに対して、まわりの子たちがかけた言葉に私はとても感動した。「私は前の学校はあまり好きじゃなかった。でも、かつやまに来てからは活動がとても楽しい。家にいるのが退屈に感じるようになった」「私も家でゲームをしたり、動画を見たりするのが楽しいと思う気持ちはある。だけど、学校が好きだから、来たくないと思っているなんて悲しいよ」。2人の女の子が、そう発言した。クラスの全員の前で、こんなふうに気持ちを正直に話すのは、とても勇気が必要だったと思う。

世の中には学校が嫌いな子がたくさんいるだろう。家庭で辛い思いをしている子もいる。そんな子たちが、子どもの村を通して自信をつけたり、挑戦する勇気を持ったり、学びの楽しさを知れたりする手伝いを今後もしていきたいと思った。

宿題のない夏休み

公立の小学校に通っていた頃の私にとって、夏休みはとても楽しみなイベントである反面、地獄の始まりでもあった。夏休みに合わせて出される大量の宿題があったからだ。私は今も昔も変わらず、嫌なことは後回しにするタイプの人間だ。休みの間にコツコツ進めるのが苦手で、休みが終わる数日前に泣きながら宿題の山と向き合うのが当たり前だった。しかし私がそんな地獄を経験したのは3年間だけだった。4年生になって転校してきたかつやま子どもの村は、宿題がない学校だったからだ。

子どもの村は、体験を通して学ぶ学校だ。学校の大人がたくさんのプリントを用意して、たくさん書いたり、計算したりするような宿題が出ることはない。また新型コロナウイルスの流行に伴って、「オンライン授業」を実施する学校が多かったが、子どもの村ではオンライン授業はおこなわなかった。

本来、学校の授業が充実していれば、宿題などの自宅学習で補う必要はないはずである。学年ごとに学ばせたい内容に対して不足があるから、学校外でも勉強する必要があるのだろう。

子どもの村の活動のなかには、さまざまな学びがある。たとえば、パンづくりではレシピを読み書きして漢字を覚えたり、分量の計算をしたり、パンの始まりやその時代について調べたりと、具体的な活動から興味のあるテーマへ学びが広がっていく。そして広がった先からさらに多方面に目を向けていくため、「パン」からは連想できないような分野の学びにも発展する。教科や学年の枠にとらわれない楽しい学びがあるからこそ、宿題のない、そして「休みがいや」だという学校が成立するのだ。

しかし、学びを広げていくには大人が幅広い知識を持っている必要があり、とても難しい。これからも子どもの充実した学びについて考えていきたい。

- 自由教育ありのまま - 2021年9月発刊 vol.168

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