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自由教育ありのまま

「日本でいちばん楽しい学校」で新任教師がみた子どもたち

学校法人きのくに子どもの村学園かつやま子どもの村小中学校教員

中川 愛 (なかがわ あい)

かつやま子どもの村小中学校、きのくに国際高等専修学校を経て、立命館大学文学部卒業。高校生時代に東ティモールという国と出会い、残酷な歴史を背負いながらも、笑顔が絶えない東ティモールが大好きになる。「東ティモールのことを少しでも多くの人に伝える」ことを目標に、2019年度4月から、母校であるかつやま子どもの村で教員として働いている。父は、プレマ株式会社代表取締役の中川信男。

自分たちでつくる修学旅行

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母校であり、職場でもある子どもの村学園では、学校行事を発案から企画、運営まで子どもたちがつくりあげる。それは修学旅行も同じだ。今回は、そんな子どもの村の修学旅行について紹介しよう。

いま私は子どもの村の「大人」として6年生の修学旅行の話し合いに参加している。子どもの村では修学旅行は学校が決めている行事ではないので、まず行くか行かないかを話し合って決める。行くことに決まったら修学旅行で学びたい内容を考え、それを元に自分たちの興味がある場所を本やインターネットを使って調べる。それぞれ調べたところを発表して話し合う。大まかな地方が決まると、その地方のなかでさらに行きたいところを調べて発表する。それを元にまた話し合い、調べ、話し合い、このくり返しで少しずつ行き先が決まっていく。単純に多数決だけですすめるわけにはいかないので、行き先を決めるこのミーティングは難航することが多い。行き先が決まると、スケジュールを決めて、宿泊先や見学先の予約をおこない、しおりをつくる。行き先の歴史や文化など、その地域についての調べものをそれぞれおこなったり、映画をみたりして事前学習をする。帰ってきたあとは調べものをさらに深め、修学旅行で考えたことや学んだことをたくさん原稿に書く。それを元に旅の本をつくるところまでが子どもの村の修学旅行だ。今年度は、中国・四国地方を中心にまわることになっている。計画に時間がかかったので、出発は3学期の予定だ。

定番ではない学びの旅

私のときに行った事例を紹介してみよう。小学校6年生のときは静岡県を中心にまわり、富士山、サファリパーク、牧場などを訪れた。特に記憶に残っているのは予約の電話だ。友だち以外へ電話をする経験がそれまでほとんどなかったので、とても緊張した。あいさつからはじまるメモを念入りにつくり、電話応対の練習を何度もして、やっと「本番」の電話をかける。楽しい仕事ではなかったが、この経験は確実に今の自分のためになっている。

中学校では、「国内修学旅行」と「イギリス修学旅行」がある。希望すれば毎年どちらかに参加できる。参加しなくてもよい。私が国内修学旅行に参加したときは、九州を一周した。長崎の原爆資料館で被爆体験講話を聞いたり、屋久島の散策をしたり、地獄めぐりをしたりして、もりだくさんの旅行だった。

高校生のときの修学旅行がいちばん大変だった。しかし、そのぶん自分たちでつくったという印象が強い。きのくに国際高等専修学校でも修学旅行は学校で決まっている行事ではない。1期生の強い希望ではじまったイベントで、3年生のときに学年全員で企画し、行きたい場所や目的などを大人に向けてプレゼンテーションをし、ふさわしいと認められれば実現する。私たちは沖縄の文化について学ぶことを目的に八重山諸島を訪れた。いちばん記憶に残っているのは、石垣島での「探検」だ。行ってもよいエリアが決まっていて、その範囲を4人ぐらいのグループで探検する。数時間かけて探検して見つけたものを発表するというものだった。私のグループは、事前に目的地を決めず、現地で見聞きして発見した場所に行くことにしていた。昔ながらの鍛冶屋さんを見つけ、急に押しかけたのにも関わらず、仕事場を見せてもらったり、話を聞かせてもらったりした。大型のショッピングモールができた影響でなんでも安く買えてしまい、鍛冶屋がほとんど残っていないことや、跡継ぎがいない現状などいろいろな話をしてもらった。

子どもの村の修学旅行はいつも学びにあふれている。行き先は自分たちの興味に従って決めるので意欲もある。ただのお楽しみイベントではなく、内容の濃い旅行ばかりだ。今年の6年生にもそんな修学旅行を経験してほしいと思う。

- 自由教育ありのまま - 2022年2月発刊 vol.173

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