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しなやかな影響力のレッスン

自分も周りも自然と良くなるために

影響力のスイッチを入れる専門家人材育成・組織開発コンサルタント

賀集 美和 (かしゅう みわ)

北海道旭川市生まれ。違いを超えて人と人が共に幸せな社会を創るには?その答えを求め日米の教育機関を経て、世界 900 店舗のレストランチェーン TGI FRIDAY'S で人材育成の道に。独立後10年の歳月をかけ、誰でも一瞬で一体感を生み出し互いを活かし合うボディヴォイス®の技術化/体系化を実現。講座や企業研修を通じ、慈しみと活力に満ちた発展的な社会を共に創り上げていく起業家や管理職などリーダーを輩出している。

調和という調べ

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昨年の大晦日の夜、夫と私は久しぶりに仲違いをしてしまいました。なにかと意見も気も合う私たちにとって、仲違いは珍しいこと。もちろん違う歴史を歩んできた2人ですから、個性や考え方の違いは当然あります。しかし、仲違いにまで発展することはごく稀。それなのに「よりによって大晦日に」と思いきや、雨降って地固まる。新年には、大切な学びが待っていました。

わが家は仲違いをすると、不思議と夫が体調を崩し、妻が元気になります。その日も夫は早々に床に就き、一人残った私は年越し蕎麦をすすりながら、仲違いの起こりを振り返っていました。すると、「優しい人たちほど離婚するのよ」という、ドッキリな言葉が聞こえるではありませんか。思い余って離婚を考えていたわけではありませんが、その言葉は、5年前、尊敬する治療家の先生に教えていただいたのです。

優しい人たちほど離婚するなんて、逆のように思いませんか? なぜ優しい人たちほど離婚するのか。私なりに理解した、その言葉に隠された真意をお伝えしたいと思います。「もっと自然体で調和的な人間関係を築きたい」と願う方、また次のような方のお役に立つと思っています。
・人が好きなのに人に疲れてしまう
・つい人に合わせてしまいがち
・自分軸という感覚がつかめない
・自分って自己中心的?と悩む

あなたは何拍子?

まずは、質問から始めましょう。3拍子と4拍子が出合うのはいつでしょうか? それは、12、24、36と、3と4の公倍数ですね。3拍子も4拍子も、それぞれ自分のリズムを刻み続ければ、公倍数のタイミングで出合います。無理に合わせようと努力しなくても、自然と合う瞬間がやってきます。

しかし、優しい人たちは、相手に合わせようとするあまり、自分のリズムを変えてしまいます。たとえば、3拍子は3.3拍子を刻み、4拍子は3.8拍子を打ってみる。すぐには噛み合わないので、今度は3拍子が3.7拍子に、4拍子は3.5拍子に。これまた合いません。

互いにあれこれ試してはすれ違い、不自然なリズムゆえに調子を崩す。調子はずれとはよく言ったものです。その果てに「私たち相性が合わないのね。別れましょう」なんて、悲劇の結論に至ってしまう。残念すぎますが、これが「優しい人たちほど離婚する」の真意です。

合わせないから、調和する

この言葉は、「真の調和」とはなにかを思い出させてくれます。自分の拍子を相手に合わせることではなく、それぞれが自分の「自然な拍子」を刻むこと。それが真の調和だと教えてくれました。合わせようとしなくていいんですね。なぜなら、自然は調和するようにできているから。

自分の「自然な拍子」というものを知ることの大切さも教わりました。誰もが、無理なく楽に、自然と刻んでしまう美しい拍子を持って生まれています。一人ひとり違う拍子が集まり合わさって、調べになります。その調べこそが、真の調和。多様性から成るダイナミックで、たおやかで、力強く、美しい調和です。

さて、大晦日に起きた私たち夫婦の仲違いに話を戻しましょう。どちらかが我を通そうとしたから起きたわけでも、意見の相違のせいでもありませんでした。家事分担の問題でもありません。夫も私も、お互いをおもんばかるがあまり、引き起こしたすれ違いでした。旧年最後の学びを糧に、いまは自分のタイミング、自分の感覚を大切に、再びそれぞれの拍子を刻み始めました。わが家には、新たな調べが鳴り響いています。

- しなやかな影響力のレッスン - 2022年2月発刊 vol.173

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