前号の「何一つ思い通りにならないこの世界で……」はいかがでしたか？

繰り返し心のなかで唱えるだけで、心がスーッと軽くなります。
この言葉を言うことで、おそらく「欲（エゴ）」がストップするのではないかと思います。
今回はこの真逆。
「この人生はすべて自分の思い通りになっている」と仮定してみましょうというお話です。

「えーっ！こんなに苦しい人生がそんなわけない！」と思う方が多いと思います。
私自身、この考え方を完全に受け入れているわけではありません。
ただ、そう思ってみると苦しい人生を、ちょっと楽しい人生に変えることができるのです。

人生は自分が作った映画

今、生きているこの世界が、もし『〇〇（あなたの名前）人生』という名前の映画だったとしたら？

この映画はあなたが主役です。
脚本も自分で書いています。
よくある映画の宣伝文句も作ってみましょう。

「全世界が感動した！人生をかけた一大スペクタクル映画！笑いあり、涙ありの人間ドラマ！〇〇（あなたの名前）の第1回主演・脚本・監督作品。乞うご期待！」

映画館で上映が終わったあとも、映画の世界が続いているような感覚にとらわれた、という経験はありませんか？

自分が主人公や近くにいる知人になったような気がしたという経験。
そして映画館から出てしばらくすると、普段の自分の生活に戻っていきます。
もし今、その映画を鑑賞してるのだとしたら？

この映画はあまりにリアルで、まさか自分が観客とはまったく思えません。
そこでちょっと目を閉じて、映画の途中でトイレに立った、と思ってみてください。
この映画を鑑賞している観客の立場になって自分の人生を見たとき、少し客観的になることができます。
視点を引いてみると、人生の意味を見出しやすくなるものです。

大きな問題があると、意識はそこばかりに集中して、視野を広げるのが難しくなります。
四六時中そのことばかり考えるという経験は誰にでもあるものです。
その状態が続くと眠れなくなったり、不安になったり、イライラしたりして体調を崩す原因になるのです。

人生を、自分が脚本・監督・主演している「映画」と捉えて振り返ってみると、その問題に関わった人たちの配役は、自分で決めていることになります。
主役の自分に対して問題を起こす、というシナリオ通りに、脇役の方々に演技をしてもらっているのであり、問題は誰のせいでもなく、自分のシナリオ通りだ、ということになります。

では、なぜそんなシナリオにしたのかというと、その後に続くクライマックスをもりあげるため、また、その問題で敵対した人たちと仲間になるなどといった大ドンデン返しが用意されているから、ということになるでしょう。
問題の渦中にいると、そう思うのは難しいと思います。
しかし、一瞬でもその苦しみから解放されるなら、やってみる価値はあると思います。

このように考えた場合、どうせ結果が同じなら、何もしなくてもいいのか？

という思考が浮かびます。
たとえシナリオが決まっていたとしても、今生きている瞬間は、何が起きるかはわからないので、そのときできることをやっていくしかありません。
未来に対する不安に対しては、これから自分の好きなシナリオを作る気持ちで、無限の可能性を信じて「日々あらゆる面で私はますます良くなりつつあります※」と言いましょう。
過去に対しては、後悔や反省ではなく、こういうシナリオしか存在しなかったのだ、という考え方を採用します。
これまでのシナリオを無駄にしないために「あれはあれでよかった」と言ってみましょう。

※自己暗示法の創始者エミール・クーエの一般公式で、とても効果のあるアファメーションです。