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隊長が行く!

【Vol.50】~福島県二本松市より~ 脱原発を訴えるふくしま有機農家さんに聞く

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二本松東和地区で生まれ育った菅野正寿(すげの・せいじ)さん(52)は、東京にある農業者大学校を卒業、「地元で有機農業を始めよう」と百姓を継ぎました。その後30年にわたり有機農業を営み、現在は、NPO法人「ゆうきの里東和ふるさと協議会」の理事も務めます。
二本松小浜地区の玄米から500Bq/Kgの放射性セシウムが検出されたその翌日、菅野さんに話をうかがいました。

 

インタビュアー 渥美京子氏
1958年静岡県生まれ。電子部品メーカー勤務ののち労働問題の専門出版社で編集記者を経て91年フリーへ。社会問題・介護・医療・食など幅広い分野でルポを発表。2003年、血友病の身でパン業界に革命を起こした大橋雄二氏を描いた『パンを耕した男』を出版。他共著多数。3・11以降は福島の声を発信、現地取材を重ねた『笑う門には福島来たる』および、共著『脱原発社会を創る30人の提言』をこの夏発刊。
【渥美京子公式サイト】http://kyokoatsumi.com/

渥美 ニュースに言葉を失いました。今の気持ちを聞かせてください。

菅野 福島の農家はみな衝撃を受けています。3月11日以降、半年もたつのに実態調査もしないまま責任を放棄してきた国の姿勢について憤りを覚えます。
農家の責任ではないのに、たくさんのマスコミが庭先にきてあれこれ追及される。これでは、私ら農家が悪いことをしているみたいです。農家も、なぜ自分の田んぼからセシウムが出たのか原因がわからないのです。テレビの映像を見ながら、悲しくてしかたありません。

渥美 二本松の小浜地区で放射性セシウムが検出された背景をどう考えますか?

菅野 山あいにある小浜地区では、山のわき水を棚田に引いています。雨が降るたびに汚染された土砂や落ち葉が田んぼに流れ込んできて、稲に放射性セシウムが移ったのではないかと思われます。
また、私たち東和地区の土壌はセシウムが移行しやすい粘土質ですが、小浜地区は粘土質の弱い砂地であったため、稲がセシウムを吸収してしまったのではないかとも推測します。私は独自にうちの田んぼの玄米を検査しましたが、放射性物質は検出されませんでした。いずれにしても原因を究明する必要があります。

渥美 県からの許可に基づいてみなさん田植えをなさったのですね。

菅野 そうです。原発事故後は、土壌の放射性濃度を分析するまで「耕してはいけない」「種をまいてはいけない」と通知がありました。春に耕さずというのは、戦時中でもなかったことです。
検査の結果が基準値以下だったため、5月に福島県の指示で「耕していい」といわれたんです。秋に買い手がつくかは不安でしたが、田畑を津波で流された農家や、原発事故で避難している農家を考えると、「作れるだけいい。がんばっぺ」と思いながらみんなでやってきました。野菜がセシウムを吸わないように微生物や木酢を入れるなど、できるだけの除染もしてきました。

渥美 ところが「予備調査」で小浜地区の米から放射性セシウムが検出されてしまった……

菅野 牛肉と稲わら問題の時も、いかにも農家の管理が悪いというニュアンスの報道がありました。かつて戦争に突き進んでいったマスコミの誘導ととても似ていて、問題の本質を見えなくしているとしか思えません。

渥美 農家さんたちを支えたい気持ちの一方で、みなさんの内部被ばくを心配します。

菅野 私らも不安です。一刻も早く、それぞれの自治体にホールボディカウンターを入れてほしいと要求しています。もし被ばくしているなら、手だてを考えます。でも、その実態さえわからないから農作業も続けるしかない。娘はできるだけハウスで作業をするようにしています。

渥美 脱原発について考えを聞かせてください。

菅野 福島の山林、海洋、里山、農地が次々に汚染され、私たちの暮らしが脅かされています。とりわけ、自然の循環と生態系を守ってきた有機農業への打撃は深刻です。大切な循環資源がことごとく汚染されました。原発と人間は共存できないことはあきらかです。それを訴えていくために、福島の有機農家が集まり「脱原発・ふくしま有機ネット」を立ち上げたところです。11月27日には東京でシンポジウムを開く予定ですので、ぜひ来てください。

渥美 自分ができることを支援したいという人はたくさんいます。何を求めますか?

菅野 どうか私たちの心に寄り添ってください。大津波で家族を亡くした悲しみ、家も農地も流された苦しみ、いまだ避難を余儀なくされている苦渋、放射能に怯える子どもたち、汚染された農産物の怒り……。福島の心に寄り添ってほしい。
問題は次から次に押し寄せます。稲刈りをした後のわらはどうすればいいのか。米ぬかは使えるのか。来年に向けて、堆肥を積み込むために使えるのか。来年の有機肥料をどう確保するのか……。
汚染されていないものを土に入れて、来年の種まきをしたいのです。そして、検査を受けて放射性物質がゼロだったら、米を買い支えてくれる人を増やしたい。私らは検査データも、どういう土作りをしてきたかも公表します。自分たちができることは努力します。どうか応援をよろしくお願いします。

冷凍桑の実

22年度産 冷凍桑の実

二本松の農家さんたちが丹精込めて育てた桑の実。原発事故以前に冷凍庫に保管された安全なものが、大手メーカーの一方的なキャンセルに遭いました。ご理解ある方々のご自宅まで、送料弊社負担にてお届けします。

笑う門には福島来たる

笑う門には福島来たる

どのメディアにも書かれていない福島の今が描かれた一冊。
福島原発の問題は、「どう生きるのか」「いかに共生するのか」という根源的な問題を、この国に住むすべての人々に突きつけています。

- 隊長が行く! - 2011年11月発刊 Vol.50

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