普段は社交的でもなく、一人の時間を大切にしている私。でも、取材で人にお会いするのがなによりも好きです。
初対面、しかも1〜2時間という短い時間で、その方の人生や仕事への想いをお聞きする。するとこれまで知らなかった世界への扉が開き、その方が積み重ねてきた時間を少しだけ追体験することで、共感や感動が生まれる。なんて刺激的な仕事だろうと思います。取材後に原稿に落としこむのは、毎回、四苦八苦していますが!
最初に編集職に就いたのは25歳のとき。未経験でも採用してくれたのは、沖縄の出版社でした。東京から単身で移住し、新米編集者としてキャリアをスタート。当時は沖縄ブームで観光客や移住者がいっきに増えており、沖縄の文化や移住に関する雑誌がよく売れていたのです。じつは私、小学生のころにも沖縄に住んでいました。もともと書くことが好きで、親戚や友人宛に、沖縄の暮らしを紹介する自作の「ぱいなっぷる新聞」を発行(?)していたので、子どものころの遊びの延長が仕事になったのだなと、なんだか感慨深かったのを覚えています。
そこで、沖縄県内を走り回りながら、泡盛の酒造所やナチュラルコスメの社長、ユタと呼ばれる霊媒師、ホテルのバーテンダー、国宝の琉球舞踊家、建築士、カフェのオーナー、歌手など、あらゆる方に取材しました。未知の世界に次々と出会える面白さに夢中になり、今までこの仕事を続けてきたのは言うまでもありません。
もちろん、取材は話を聞くことが目的ではなく、読者にその方々の魅力をお届けできてこそ完了するもの。読んだ感想を直接聞くことはなかなか叶いませんが、私が味わった感動の波紋が広がっていくことを想像しながら、いつも取り組んでいます。
その後いくつかの会社を経て、子どもが生まれ、私のライフスタイルもすっかり変化しました。プレマに入社してからは、『らくなちゅらる通信』の取材で、熱い想いでものづくりをする生産者さんや、社会を変えるためにさまざまな形でチャレンジされている方にお会いします。そして、人の生き方ほど人に生きる力を与えるものはないと感じています。
最近気づいたことは、じつは世界中の一人一人が、取材をすればすべて記事になるぐらい唯一無二の物語を生きているということ。全員に話を聞くのは無理だけど、これからもできるだけ多くの人に会い、その物語を届けていきたいと思います。
プロモーション・セクション
内田 光香(うちだ みか)
国内外を転々とし、2023年からは沖縄に在住。ベジタリアンゆえ島野菜にも興味津々ですが、「ウンチェー」「シブイ」など、いまだに名前を見てもわからない野菜ばかり。買い物が新鮮で楽しいです。