わたしが学生のとき、帰省する際は時刻表を大学の生協で買うことが準備の始まりでした。わたしの実家は、新幹線と特急と在来線を乗り継いだ先にありました。ときには「青春18きっぷ」を利用して旅行もしました。何時に出発して、どの電車に乗り換えるか。頭のなかでシミュレーションし、あれこれ迷いながら時刻表の小さな時刻の数字にペンで印をつけていきました。
高速バスを利用したこともあります。安いのが魅力ですが、座席にずっと座っているのは窮屈でした。いちど東京から福岡まで行くバスに乗りました。13時間以上バスに揺られてへとへとになり、半日ほどはぐったりしていました。いくら安くてもそうなっては意味がない、これからはチケットの値段だけにつられてはダメだと心に決めました。
先日、20代の人と話していたとき、時刻表のことが話題になりました。その人は紙の時刻表を使ったことがないそうです。時刻表ファンの人が、あの数字の列を眺めるだけで、旅を想像できるのは素敵なことに思えると話していました。
わたしが帰省のために時刻表をめくっていたのは、その人が生まれるより前の話です。そのころは、時刻表から旅程を組み立てるのはそんなに特別なことではありませんでした。
わたし自身、いまは旅の手配はインターネット頼り。費用と時間を天秤にかけて、いちばん効率のよいルートを決めて、オンライン決済。ずいぶん楽になっています。でも時刻表を見ながら、出発駅から到着駅まで、想像のなかで旅程をたどり、どのルートを選ぶかを決めていくのは、面倒だけれどもわくわくする楽しい時間だったな、とふと思い出しました。
最近、学生になった息子がひとりで遠出をする機会が増えてきました。時間はたっぷりあるけれど、予算は限られている。ルートについてはインターネットや先輩から情報収集しているようです。夫やわたしにアドバイスを求めてくるときもあります。高速バス、青春18きっぷ、ときにはフェリー。懐かしい選択肢が次々とあがってきます。今でもあるんだ!というものもあれば、今はそんなふうになっているんだ!というのもあります。
息子の話を聞きながら、わたしももっといろんなところに行ってみようかな、という気分になっている今日このごろです。座席が進化した高速バスもあるそうです。バスに乗っていくのもいいかもしれません。
プロモーションセクション
山本(やまもと)
中目黒イベントの企画・運営担当。今年は「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」を観たことをきっかけに、香港映画熱が再燃。映画館に通い、関連資料を読みまくり、香港料理屋さんを巡り、家でも再現料理を作ってます。